第42章 Tandem-最期の言葉-
『じゃあ父様呼んでくる!!』
『父さんも忙しいんだよ!!』
『なら私が母様を助ける!!』
『っ、いい加減にしろ…ッ!!』
苛立ちを含む声に驚いた梨央はビクッと身体を震わせて…顔をくしゃりと歪ませた。
『だって…だってえぇぇ〜』
えぐえぐと泣き出す梨央の手を引っ張る。
『ほら…部屋に戻ろう。母さん達なら大丈夫だよ。必ず何とかしてくれる』
『ひっく…』
『(そうだ。母さんは強い。だから…信じろ。)』
『──こんなところにいたのか。』
『『!?』』
『言い争う声が聞こえて駆けつけてみれば案の定だな。これで全員だ』
二人の前に白装束を着た二人組が現れる。
『…何だお前ら』
蒼生は怯える梨央を背中に隠す。
『来い。陛下の元に連れて行く』
『誰がお前らに着いて行くかよ』
『へぇ…あの女の息子だけあって随分生意気だな。おまけに目上の奴に対しての口の悪さがなってねえ』
『…梨央、逃げるぞ。まだ走れるな?』
『…う、うん』
蒼生は手を繋いだまま、後退る。
『おっと…逃げようなんて思うなよ?』
『無駄な選択は命取りになるぞ』
『お前達のような子供などすぐにでも殺せるんだからなァ』
『っ!』
ニヤニヤと笑う男の脅しに梨央の身体がビクッと跳ねる。
『あ…蒼生…』
不安げな声に蒼生は安心させるように手をギュッと握りしめた。
『暴れたらどうなるか分かるよな?』
『……………』
『大人しくしてろよ』
男達は二人に近付く。一人の男が梨央に触ろうと手を伸ばす。
『(いや…!!)』
目を閉じて蒼生の方に身体を寄せる。
バシッ!
『っ……!』
触れる寸前で蒼生が男の手を強く振り払った。
『こいつに触んな。』
『このガキ…!!』
『大人しくしろって言ったよな?次言うこと利かなかったら…』
腰に下げてある剣を鞘から引き抜き、二人に見せつける。
『死にたくなかったら抵抗するな』
『おら!とっとと歩け!!』
男は苛立つ声で言った。
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