第42章 Tandem-最期の言葉-

『こんな事はやめるんじゃ。後悔してからでは遅い。お主…人を殺したことがないじゃろう？』



『！』



『何故、あのような男に従っておる？』



『……………』



『何か弱味でも握られておるのか？』



『……………』



何も応えない少年を見て、柊は肩を竦め、溜息を零した。



『…お主は窮屈な世界で生きておるのぅ』



『…窮屈？』



少年は不思議そうに言う。



『幸せだと感じたことはあるか？』



『！』



『楽しいと感じたことは？
嬉しいと感じたことは？』



『あるはずない。そんな感情持っていても無意味だ。陛下は余計な感情は要らないと言った。ただ命令だけを聞いていればいいと。だから感情なんて必要ない』



『……………』



『それにあの方はこんな役立たずでも必要としてくれた。あの地獄から救ってくれた。だからあの方の役に立つ為ならどんな事だってする』



『…お主は寂しい奴じゃのぅ。孤独を抱え込みすぎて光が見えておらぬ』



『何を言っている…？』



『お主が慕う“あの方”の望みは叶わんよ』



『あの方は強い。お前達が本気を出そうがあの方には絶対に勝てない』



『(こんな子供まで戦いの道具にするのか…)』



柊は辛そうに眉を顰めた。



『のぅ少年。一つ提案なのじゃが…あの子達の友達になってくれんかの？』



『は？』



『皆、良い子なのじゃが、生まれた時から一緒に育ったせいか、他に友達を作りたがらない。少しはあの子達も新しい友達と交流を持った方が良いと思ってな』



『意味がわからない』



『緑髪の女の子は梨央、銀髪の男の子は蒼生。二人は二卵性の双子なんじゃよ』



『そんなことは聞いてない』



『黒髪の男の子は蓮杜と言うて、夕陽色の髪をした女の子は千歳じゃ。丁度お主と同い年くらいだから気が合うじゃろう』



『ふざけるな。何故お前達のような敵と仲良くする。それに友達だと？馬鹿にするな。何の不自由も無くあたたかな世界で生きてるお前達なんかと友達になるなんて反吐が出る』



『残念じゃのう。梨央と蒼生とは合いそうな気がするんじゃが』



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