第42章 Tandem-最期の言葉-
その頃、ユーハバッハからの猛攻撃を自らの剣で防ぐ三人は何とかして空の上に立つ男を仕留めようとするも、隙のない攻撃に苦戦を強いたげられる。
『厄介な相手ね…』
『私達の力でも倒せないなんて…』
『早急に何か手を打たなければ守れなくなる』
罪禍は背後にある自分の屋敷を横目で見る。
『これが全力か?』
『…言ってくれるじゃない』
『名高い貴族の当主と云うから期待していたが…私に傷の一つも付けられぬとは。そのような実力で王に勝つなど…滑稽だな』
そしてユーハバッハは地上に降り立つ。
『何故この里を襲うの?』
『この里が霊王の加護を受けているからだ』
『!…霊王ですって?』
『貴方…霊王様に何をするつもりですの?』
『もちろん…殺す。』
瞠目する三人を見てユーハバッハは嗤う。
『霊王様を殺す…?』
『そうだ。霊王を取り込み、現世・尸魂界・虚圏を一つにすることで、全ての人間を死の恐怖から解放する』
『全ての人間を死の恐怖から解放…?』
『その為にはまず、霊王の力で護られた蒼月を落とし、次に霊王を護る家系である三大家の当主達を殺し、邪魔者を消す』
奴の目的を聞いた途端、三人の霊圧が一気に跳ね上がった。
『!』
空から押し潰されているかのような強い感覚が襲い、普通の人なら息苦しさで呼吸困難になり、立っていられなくなるが、ユーハバッハは平然とした顔で此方を睨む三人を見ていた。
『それが…貴方の目的ですのね』
『くだらない理由で里を滅茶苦茶にしたのね』
『そんな目的、私達が阻止してやる。幸せだった日常を壊し、愛する子供達から笑顔を奪ったお前を…私達は絶対に許さない』
罪禍の脳裏に二人の悲しげな顔が浮かぶ。
『私の愛する天使から幸せと笑顔を奪おうなんて…』
ギリッと歯を噛み締め、怒りに震える。
『覚悟しろ、ユーハバッハ。今から私達がお前を殺してやる──。』
『貴様達の力で私の首を取れると云うのならば本気で殺してみるが良い』
どこまでも余裕たっぷりなユーハバッハに三人は殺気を放ち、剣を握り直す。
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