第42章 Tandem-最期の言葉-
【尸魂界】
ついに“運命の日”が訪れた──。
突如、地震が起きたような凄まじい衝撃が静霊廷を襲う。
「何!?今の音!!」
「隕石でも落下した!?」
「ンなわけあるか!」
「窓の外を見て!!」
霙のボケに蒼生が鋭くツッコむ。詩調の慌てた声に全員が窓に駆け寄れば、空から青い光の柱が何本も出現している。
「青い…光…?」
「いや…青い火柱っスよ!」
「一本一本がとんでもない霊子濃度ね」
「もう仕掛けて来たか」
「…蒼生くん」
「ああ、ついに目覚めやがった」
蒼生は苛立ち、舌打ちをした。
「……………」
雅は悲しげな表情で青い火柱を見つめている。霙の隣に立っている詩調も怖い顔を見せ、青い火柱を睨みつけていた。
「(あの男が彼処に…)」
「逸るなよ」
「!」
「敵の親玉が近くにいようと急いたら負けだ」
「…お兄ちゃんの気遣いは心に沁みるよ」
「お兄ちゃん言うんじゃねえ」
蒼生が指摘した通り、梨央の表情には焦りの色が表れていた。
「滅却師…!」
敵意むき出しに眼光を鋭くさせる詩調は今にでも突っ込んで行きそうな勢いだ。
「(やっと…あんたに会えるわ!)」
再会への喜びでは無く、その瞳に殺意が芽生えている事から、詩調の憎む相手が敵にいるのだろう。
ピピッ
緊迫した空気の中、梨央の伝令神機が鳴り、内容を確認する。
「どうするスか?」
「今すぐにでも戦いましょう」
「悪いがそれは許可できない」
「え!?」
「全員、霊王宮に帰還してもらう」
「霊王宮に?」
「“直ちに霊王宮の守護にあたれ”。
霊王の側近からの指示だ」
「でも…」
「尸魂界を護んのは彼らの役目。オレらが護んのは霊王宮。そうっスよね?」
「あぁ、琉生の言う通りだ」
「…わかった」
「キミ達は先に霊王宮に向かってくれ」
「梨央ちゃんは?」
「里に行って双子を避難させる」
「俺も行く」
「いいの?」
「お前だけに双子を任せるのは悪いからな」
「ありがと」
「それじゃあ霊王宮で会いましょう」
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