第41章 Equiti-見えざる帝国-
隊舎に戻る途中で副官達が集まっている場所を見つけた。
そっと気配を消して足音を立てずに近寄る。
「(何を話してるんだろ…?)」
背を壁に付けて中の様子に聞き耳を立てた。
《僕は今回の一連の事件───賊軍侵入、虚の大量消失、そして流魂街の民衆失踪。これらは全て一つに繋がるものだと思っていた》
「!」
“錆面”で失踪した民衆の話をしてるのか…?
《だが実際は十二番隊の報告によれば────前者2つは繋がるものだが失踪については単なる民衆同士の仲違いとされ、早々に捜査は打ち切られた。未だ失踪は続いているのにも拘らず、だ。》
「…………………」
《納得がいかない。だからこうして副隊長が一堂に会した機会に訊いておきたい。》
《この中に“五十地区より外側を調査した”副隊長は居るか?》
《…それが何の────》
《はい!うちとこのつるりんとゆみちーが行ったのが六十四だったよ!》
《報告は?》
《よそと同じだよ?足あとが一ヶ所に集まって消えてて虚の足あとがなかったから村人どうしの仲間割れかもって。》
「!!」
“足あとが一ヶ所に集まって”
“虚の足あとがなかった”
「…まさか、ね…」
《そうじゃない。足跡の種類についての報告が知りたい。》
「!」
《?はだしとぞうり…》
「っ………!?」
“裸足”と“草履”だと!?
まるで…百年前の時と同じじゃないか!
“流魂街の住人が消える事件”
故に変死事件と言われたが…
その時は“服だけを残して跡形も無く消えた”
今回の民衆失踪の事件は
犯人は違えど状況は似ている
「これは一体…」
百年前の変死事件の犯人は藍染だった
虚化の実験のために
流魂街で魂魄消失事件を引き起こし
結果として平子真子を含めた8人の隊長格を
仮面の軍勢にするきっかけを作り
それをなすりつけられた浦原が追放され
そして私は監獄に収監されることになった
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