第41章 Equiti-見えざる帝国-
「奴らの正体は掴めてるんスか」
「…滅却師…だろうな」
「滅却師?」
「生き残り?」
「それも解らない」
「謎ばかりだねぇ〜」
「(でもあの白装束は…)」
彼がいつも着ているものと同じ…
「(雨竜くん…キミは…)」
ぐっと眉間を寄せ、顔をしかめる。
「とりあえず何らかの変化があるまで下手に動くのは控えた方がいいな」
バサッと報告書を机に投げる。その時、青蝶が現れ、梨央の差し出した指先に止まる。
《緊急招集!!緊急招集!!各隊の隊長は直ちに一番隊に招集せよ!!繰り返す!!各隊の隊長は直ちに──……》
「詳しく聞いてこいよ」
「うん」
瞬歩で消えた梨央は直ちに一番隊に向かった。
◇◆◇
【一番隊舎】
「──以上が今回の賊軍侵入案件についての顛末報告全文です」
「ご苦労様阿近、退がって良いヨ」
「はい」
「…さて、今回の旅禍──仮に“賊軍”と呼んでいるが…自らの勢力を『見えざる帝国』と呼称するこの賊軍の侵入と近時の虚消失案件とは一つに繋がっている」
阿近を退がらせた涅が説明を始める。
「賢明な隊長諸兄には既に判断がついていると思うが──賊軍の正体は『滅却師』だ」
「(やっぱりか…)」
「奴等がどうやって生き残り勢力を拡大したのかは知る良しも無いが警戒すべきは奴等がどうやったら遮魂膜を通過する方法を持っているという事と雀部副隊長の遺言によればどうやら卍解を封じる…もしくは無力化する手段を持ってい「もうよい」
長々しい解説をする涅の言葉を遮って止める山本。
「情報の共有はもう充分であろう。お主に求めるのはその先、奴等の根城は何処に在るのか」
「…残念ながらそれはまだ…」
「…そうか、ならば此方から攻め入る術も無し」
杖を床に押しつけるように置く。
「…全隊長に命ず、これより戦の準備にかかれ。賊軍の尖兵は『開戦は五日後』と告げたが急襲を掛ける奸佞邪知の徒輩の言葉など信ずる可くも無し。直ちに全霊全連で準備を整えよ。二度と奴等に先手などを取らせてはならぬ!」
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