第41章 Equiti-見えざる帝国-
雀部の隊葬は丁重に弔われ、その魂が天に還された。無事に隊葬を終え、梨央は蒼生を呼び出す。
「どうした?」
「報告しておこうと思ってね」
「何をだよ?」
「伏見に会った」
「!?」
衝撃を受け、蒼生は瞠目した。
梨央は伏見が宣戦布告に来た事を話す。
「あの馬鹿…一体何考えてんだ」
「見えざる帝国か…」
「アイツの壊したいものって何だ?」
「さぁ。知りたくもないよ」
「…ついに動き始めたか」
蒼生は小さく溜息を吐く。
「伏見の馬鹿には呆れて物も言えねーが…あの男が何を仕出かすかは怖いな…」
「(時間は止まってはくれないか…)」
胸元辺りの死覇装を掴み、目を瞑り、そして開いて蒼生に告げる。
「皆を会議室に集めてくれ」
◇◆◇
帰宅後、そのまま会議室に直行した一行は、円状の机に各自座る。梨央は隊葬時に山本から渡された報告書を読み上げた。
「今から五十七分前、一番隊執務室に正体不明の七名が侵入した。五十二分前撤退、隊士一名が死亡。同刻、一番隊が警備にあたっていた黒陵門付近にも正体不明の侵入者、182秒間の戦闘で隊士百十六名が死亡」
「百十六名も…」
雅は驚いた表情で悲しげに呟く。
「雀部副隊長はここで致命傷を受け、何らかの方法で一番隊執務室まで運ばれた後、絶命。尚、こちらの侵入者は目撃者全員死亡の為、不明だが霊圧計測による痕跡から一名である可能性が高い」
「単独犯の犯行ってこと?」
「そうなるわね」
「最後に侵入者達の侵入及び撤退経路は全て不明、静霊廷外周の遮魂膜に何等の影響も観測もされていない事から遮魂膜を無視した移動方法を有しているものと思われる。そしてもう一つ、これは重要だからよく聞いて…」
報告書から顔を上げ、全員を見る。
「奴らは卍解を…奪うことができる」
その事実に全員が驚いた表情を浮かべた。
「ちょっと待って…卍解を奪うって…そんなことが可能なの?」
「私も信じられないが可能なんだろうな」
「でも卍解を奪うってどうやって?」
「わからない」
霙の疑問に首を振る。
.