第41章 Equiti-見えざる帝国-
「用は済んだろ。さっさと帰れ」
「そう邪険にすんなよ。幼馴染だろ」
「(気のせいか…?)」
“幼馴染”をやけに強調するな
「(そして奴から…強い悪意を感じる。)」
険しい表情のままジッと凝視していると、伏見は何かを探る様に見返してくる。
「お前…“そんなんだったか”?」
「質問の意味が解らない」
「上手く言えねえけど…なんかお前、気持ち悪ィ」
「…………」
「お前なのにお前じゃねえ。
これは一体、どういう事だ?」
顔を歪めた伏見が疑問を投げる。その答えを知りながらも、梨央は伏見を見据えたまま、何も語らない。
「おい、質問に答えやがれ」
「煩いな。関係ないだろ」
「関係あるんだよ。テメェは俺が殺すんだ。殺す相手の情報は知っておきてえだろ。それとも…幼馴染には話せない隠し事なのか?」
卑しく嗤う伏見に苛立ちが増す。
「虚勢を張るなと言ったはずだ。キミでは私を殺せない。そしてキミは私には勝てない。キミの力など底が知れてる」
「…あ゙ぁ?」
米神に青筋が浮かび、殺気を溢れさせる。ピリピリとした空気が肌に刺さるが、梨央は無表情で伏見を見ている。
「おい梨央、昔は泣き虫だったお前が随分と生意気言うようになったじゃねーか。俺じゃテメェを殺せねえだと?ふざけんじゃねえよ…!!」
激しく憤怒し、殺意すら全身から溢れ出ている伏見は剣を握る手に力を込める。
「(総隊長に何て言われるかな…)」
頭ではそんな事を考え、怒り心頭の伏見を冷めた眼差しで見つめる。
「俺は強え!お前なんかよりもずっと!!あの日から弱い奴を片っ端から殺しまくって手に入れた強さだ!それを…テメェが俺の強さを否定するんじゃねえ!!」
「伏見、声を荒げるな。それと霊圧を抑えろ。すぐに気づかれるぞ」
「はっ、俺を気遣うたぁ余裕だなぁオイ。お前がそこまで俺のことを気にかけてくれるなんて…心底吐き気がする!!」
「いつキミを気遣った。誰もキミのことなんて気にかけてないよ。はぁ…キミは面倒臭いな」
「マジでぶっ殺してやろうか?あ゙ぁ!?」
「キミと殺り合うつもりはないと言った」
「クソ…テメェも俺を馬鹿にしやがって…」
.