第41章 Equiti-見えざる帝国-
「殺すのが一番手っ取り早いんだって。だからアイツは…殺したんだろ?」
「!」
「全てを奪う為に、殺したんだよな」
怖い顔で梨央を睨みつける。
「キミは…何の為に人を殺す?」
「あ?」
「(分かりきった質問だが…)」
「そんなの簡単だ。俺の強さを証明する為。弱い奴を片っ端から殺しまくって、この世界で誰が一番強いのかを力で証明してやんだよ」
「悪意を乗せた刀で人を斬っても、強さは証明されない。キミの刀は…血を浴びすぎだ」
「だったら何だよ。テメェだって同じじゃねーか。死神になった時から刀で斬れるもんは何だって殺してきただろ。血を浴びてんのは俺だけじゃねーよ」
ギスギスとした空気が周囲に漂う。ピンとした空気は張りつめる。
「じゃあ逆に聞くけどよ…テメェは何の為に強くなる?その刀に乗ってんのは何だよ?」
「大事なものを守る為。誰にも奪わせない為。自分自身でそれを壊させない為。私の刀に乗ってるのは…」
そこで言葉を詰まらせる。彼女は今、何を考えているのだろう。ふと悲しげに眼を地面に向け、少し経ってから伏見を見た。
「絆、だよ」
「はあ?」
「私の刀に乗ってるのは仲間との信頼と結束だ」
ハッキリと告げれば、伏見はきょとんとし、それから可笑しそうに笑った。
「はは!なァにが絆だ!仲間との信頼だ結束だ!テメェは本当にクソみたいな甘ちゃんだなァ!」
「!」
「そんなんで強さが証明されるわけねーだろバァーカ!」
「キミの強さだって証明されるわけないだろ」
「一つ、教えてやる」
伏見は花壇から離れ、梨央の元にゆっくりと歩いてくる。
「俺はお前より強い」
「!!」
「今此処でテメェと戦ったら俺が勝つ」
「虚勢を張るなよ」
「張ってねーよ。嘘だと思うなら…今此処で…試してみるか?」
気分が高揚している伏見は手にしていた鞘から剣を引き抜こうとしている。
「断る。」
「あ?」
「此処での戦闘は禁止だ。始解するのも禁じられている。故にキミと殺し合いをする理由は消えた」
「逃げんのか」
「安い挑発だな。乗らないぞ」
伏見から小さな舌打ちが聞こえた。
.