第41章 Equiti-見えざる帝国-
「そんなことしてみろ。この場でキミの首を刎ね飛ばし、虚共の餌にしてやる」
「相変わらず物騒だなァ」
それでも伏見はククッと嗤う。
「久しぶりに幼馴染が会いに来てやったっていうのに随分な嫌われようだ。もっと再会を喜んでくれてもいいんじゃねーの」
「再会を喜ぶほど、私はキミを好いてはいない。むしろ一生会いたくなかった」
「そーかよ」
「(夢なんて見るもんじゃないな…)」
心の中で舌打ちをする。
「お前、俺のこと嫌いか?」
「好かれてると思っているのか」
「テメェを好くわけねーだろ。気色悪ィ」
「キミだって私が嫌いだろ」
「殺したくなるくらいなァ」
笑みを見せるが、その瞳には嫌悪の色が宿っている。
「キミに聞きたいことがある」
「おー、答えてやんよ」
「冴島兄妹を殺したのはキミだな?」
「冴島?誰?」
本気で分からないのだろう。伏見の表情がそれを語っている。梨央は溜息を吐き、説明した。
「キミに脱獄の協力を頼んだ男がいただろう。妹も一緒の部屋に捕まっていた」
「冴島…冴島ねェ…」
顎に手を当て、うんうんと考える。
「あぁ…うっすらと思い出した。あの兄妹な。確かに脱獄の手伝いを頼まれたわ。あの二人なら俺が殺したけど…それが何?」
「何故殺した」
「弱いから」
ただ一言、そう告げた。梨央は頭痛がし出す。反省の色を見せるどころか、何の悪びれもなくニヤリと嗤っている伏見の態度に殺意さえ芽生えた。
「弱い生き物がこの世界に生きてたって何の役にも立たねえだろ?むしろ感謝してほしいぜ。邪魔なゴミを片付けてやったんだからな」
「………………」
「つーか何でお前がそんなに怒んだよ?アイツらはテメェにとって厄介者だったろ?丁度良かったじゃねーか。俺が殺して、お前が殺す手間が省けたろ?」
「あの二人にはしっかりと罪を償ってもらい、処罰を与えるつもりだったんだ。それなのに余計な事しやがって…」
「何が罪を償ってもらうだ。処罰を与えたってあの馬鹿兄妹は反省なんてしねーよ」
「(キミもだろうが。)」
そのツッコミは心の中にしまっておいた。
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