第41章 Equiti-見えざる帝国-
『…蓮杜』
咎める様に蒼生は蓮杜を見る。
『わ、悪かったよ…大声出して…』
『違う遊びにしないか?隠れんぼとか…』
千歳は提案するが蓮杜は首を振る。
『隠れんぼは前に梨央と蒼生ン家でしただろ。つーかお前らの母親、菓子作るのめちゃくちゃ上手いな!』
『うん!自慢のね!母様なの!』
『いいよなー。ババアが作った菓子なんて食えたモンじゃねーぞ。黒焦げだし、石かって思うくらい固えし。まじぃって言うと作ったモン全部口の中に突っ込まれる』
『前から思ってたけど…蓮杜のお母さんってパワフルだよね』
『パワフル過ぎて下手な事言えねー…って、だから俺の話はいいんだよ!!』
『自分から振ったのにね?』
蒼生にコソッと梨央は耳打ちする。
『とにかく!!記憶映しの洞窟なんて興味あるだろ!?ババア達が口を酸っぱくして言ってんだ。あの洞窟には…隠された財宝が眠ってるんだ!』
キラキラと目を輝かせる蓮杜に顔を見渡せた三人は呆れ返っているようだ。
『ほんとお前、探検とか好きだよなー』
『だってワクワクするだろ?』
『蒼生も…?』
『…まぁ、気持ちは分かる』
『さっすが蒼生!女共と違って探検の心得を良く解ってるじゃん!』
『別に解りたくねーけどな』
『女共って失礼だな!』
『でも…洞窟の近くに虚が出るから近付いちゃダメって…母様が言ってたよ?』
『そんなの俺達でやっつければいいんだよ!』
『いや流石に子供のあたし達じゃ無理だろ』
『一瞬で捕まって殺されるのがオチだな』
『なら俺が返り討ちにしてやる!』
ドン、と胸を叩き、無邪気に笑う蓮杜に三人は驚いた表情を見せる。
『それに蒼生だっている。もし二人が襲われそうになったら俺と蒼生でお前らを守ってやるよ。それなら怖くないだろ?』
『『!』』
『まだ行くって決まってねーのに…』
『俺達が揃えば最強だ!俺達は世界一強い!……いや、ババア達にまだ勝てねえから、世界一とは言えねえか…。ま、とにかくだ!虚が襲って来ても絶対に守ってやる!安心しろ!』
妙に自信たっぷりに高々に宣言するものだから、そんな蓮杜に三人は顔を見合わせて笑んだ。
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