第41章 Equiti-見えざる帝国-
今も夢に視る
とても 懐かしい夢
まだ 全てが幸せだった頃の
何の変哲もない、日常──……
『今日は探検に行くぞ!』
楽しげな声色で言ったのは黒髪に札の様な耳飾りを付けた少年だ。その後ろには二人の少女と一人の少年がいる。
『探検って…どこ行くの?』
緑髪に青眼の少女が不安そうに訊く。
『聞いて驚け!俺達が探検する場所は…“記憶映しの洞窟”だ!』
ニヤリと笑い、洞窟の方角を指差す少年の言葉に三人は“うわ…”と表情をしかめる。
『そこは危険だから入るなって母様達に止められてるだろ。この前だってお前が洞窟なんか入りたいって言ったせいであたし達まで叱られたの、もう忘れたのか?』
夕陽色の髪をポニーテールにした少女が呆れた様に溜息を吐いた。
『やめとけ。お前ンとこの母親、怒ったらすげー怖いんだろ?こってり絞られて泣く羽目になんだから』
『う、うるせえ!泣いてねーし!怖くもねえ!ババアの拳骨が怖くて探検なんかできるか!』
銀髪に青眼の少年の言葉にギクリと体を揺らし、図星だった為、黒髪の少年は怒る。
『確かに悪さがバレると拳骨かチョップかましてくるけど…そんなん痛くも痒くもねえ!』
ふふん!と腰に手を当て、怖くも何ともないと虚勢を張るも、嘘がバレバレである。
『お前って嘘吐く時、虚勢張るよな』
『ンだと千歳!俺のどこが虚勢張ってるってゆーんだよ!』
『ふ、二人とも…喧嘩はダメだよぉ…』
言い合いを始める二人を見て、あわあわする緑髪の少女とそんな二人のやり取りに溜息を吐く銀髪の少年。
『この話はいいんだよ!!今日はババア達にバレるわけにはいかねー!俺達“貴族探検隊”は危険と呼ばれし魔窟、“記憶映しの洞窟”を探検する!何か文句あるか!!』
『隠し通せる訳がないだろう。あたし達の母親はあたし達の事は何でもお見通しなんだ。きっとすぐにバレて全員揃って説教コースだよ』
『千歳に一票。』
『わ、私も…バレるに…三票…』
『お前らマジで冷たいな!?つーか梨央!!三票も入れてんじゃねえ!!ビックリしただろうが!!』
『ひうっ!?』
大声で怒る蓮杜にビクッと怯えた梨央が隣にいる蒼生の手をギュッと握る。
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