第40章 Periculo-性格の不一致-
「これが百年前の真実です」
梨央は涅を見た。
「満足ですか」
「やれば出来るじゃないか」
上から目線で物を言う涅に苛立ちが浮かぶ。
「昔もそれぐらい優秀だと実験台として役に立ったんだがネ」
「あなたの実験台になった覚えはないと昔から何度も説明してますよね」
「それは君が勝手に言っている事ダロウ?あの時から君は私の実験台だと決まっている。全く…何度も説明させるんじゃないヨ」
コイツは何でこんなに偉そうなんだ
上から目線な態度もホント腹が立つ!!
「君があの男の罠に嵌って百年の投獄と聞いた時は大爆笑だったヨ」
「………………」
「だが私は君のような得体の知れん小娘は投獄と云わず処刑されるべきだと思っていたんだがネ」
「処刑されなくて残念でしたね」
「全くだヨ」
涅は深い溜息を吐いた。
「けど良い経験にはなったんじゃないかネ」
「どういう意味です」
「役立たずとして処分されなかっただけ有難いと思い給えヨ。まァ私ならそんな簡単な罠にも気付けなかった者をわざわざ生かしておかんがネ」
梨央は眉を寄せて顔をしかめた。
「君が使えなくなるのは困るんだヨ」
「何…?」
「融通が利かない上に無能で役立たずの失敗作だが、実験台(モルモット)としての君の活躍は実に素晴らしい。名誉ある働きぶりだヨ。昔の君なら今以上の役には立たなかっただろう。感謝し給えヨ」
目を細めて涅は梨央を見る。
「この私がわざわざ君を使ってやっているんだ」
「………………」
「使い物にならなくなったら、せっかく君を実験台に選んだ私の目利きが間違いだったと認めるようなものだからネ」
「(今すぐその首を刎ねたい…)」
「仁科」
「わかってますよ」
考えを見透かされているかのように今度は阿近が梨央を止める。爆発しそうな怒りに震える手をどうにか抑え、歯を噛み締めた。
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