第40章 Periculo-性格の不一致-
「当たり前だよ!だって梨央ちゃんは騙されたんだよ?それに梨央ちゃんがやったっていう証拠はどこにも…」
「“ない”」
「!」
「って…私も思ってた。だから自分の意見を最後まで通し続けた。でも見つかったんだよね…証拠」
「え?」
「十二番隊舎研究棟以外からも“虚化”の研究と思わしき痕跡が多数発見された。それが決定的な証拠となって犯人は私だと結論付けられた」
「そんな…」
「“最後まで気付けなかった”。私の存在を危険視した奴らの犯行だとすぐに解っていれば…百年前の事件は防げていたかもしれない」
「誰なの…?」
「桃ちゃん…」
「誰が梨央ちゃんを…」
「………………」
「藍染だろ」
「!!」
「お前に濡れ衣を着せたのは」
「え…?」
違う理由で梨央と雛森は驚いた表情を浮かべた。
「そして虚の出現率が急に上昇したのも…市丸の仕業だった」
「!?」
それには隣に立つ乱菊が驚いた表情で日番谷を見る。
「本当に全て知っちゃったんですね…」
悲しそうに笑った。
「二人には…言えなかったんです」
「「!」」
「傷付けると思ったから」
「梨央ちゃん…」
「梨央…」
「彼らの生きる証を守りたかった。あの男の下らない実験の被害者になった彼らのことを護りたかった。私がもう少し早く…罠だと気付いていれば隊長達は死神としての生きる道を失わずに済んだ」
ギュッと強く手を握り締める。
「挙句に私は身勝手な判断で周りに迷惑をかけ、そのせいで零番隊は解散。仲間が納得しないと解っていながらも…バラバラにさせたんです」
あの事件は
今でも忘れられない
「私はどうしても藍染が許せなかった。人に罪を被せておいて自分は副隊長という立場から隊長の座に昇格。一体どういうつもりでその羽織に袖を通して部下を護っているんだと思ったこともあります」
平気で人を裏切り
傷付ける藍染を
私は絶対に許せない
「監獄生活は地獄でしたよ。視界に映るのは闇の世界。朝か夜かも解らず過ぎ去る時間。いやァ…退屈でしたねぇ」
嘲笑し、顔を歪める。
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