第40章 Periculo-性格の不一致-
「私はある罪を犯した容疑を掛けられ、百年という永い時間を監獄で過ごしました」
ほとんどの者が驚いた表情を浮かべた。
だが日番谷だけは驚きもせず、ただジッと梨央を凝視めている。
「事の発端は百年前です。
その頃、流魂街で変死事件が続発していました」
「変死事件?」
「流魂街の住人が服だけを残して跡形も無く消えたんです」
「!?」
「その犯人は未だ判明していません」
「じゃあ今も犯人は…」
「逃げ延びてますね。ほんと小賢しい。
そして事件は起こりました」
私が何もできず
何も護れなかった
あの事件が───……
「変死事件の調査に出かけていた九番隊に異常が発生して平子隊長・鳳橋隊長・愛川隊長が現地に向かいました。それと同時に現地より数㎞離れた場所で大量の虚の群衆が出現したとの報告を受け、零番隊も出動したんです。それが…仕組まれた罠だと気付かないまま」
「仕組まれたって…」
「戦闘中、平子隊長達の霊圧の消失を感じました。そこで私は疑問に思ったんです。九番隊に異常が発生した後すぐに大量の虚が群れを成して現れたことに」
「確かに…タイミングが良すぎる」
「そうなんです」
「!」
「何でわざわざ数㎞も離れた場所に突然、虚の群れが現れたのか。それも…“タイミングを見計らったように”…」
「たまたま偶然て事はあり得ないのか?」
「あり得ませんね。それまで虚の出現率は低下してたんです。でも…あの事件が始まりだったかの様に虚の出現率が上昇した」
「どうして急に虚が現れたのかしら…?」
「その事件が起こる前に私はある人物と接触していました。その時に気付くべきだったんです。奴らの小さな変化に」
憎たらしそうに顔をしかめる。
「あれは確認だったんです」
「確認?」
「“私が罠に気付いているかどうか”。でも私は“気付かなかった”。いや…“気付けなかった”んです。あの時は…奴らに会う前から…その…すこぶる機嫌が悪かったので…」
十二番隊でまだ三席(副局長)だった涅と激しい口論になり、それが原因で最高潮に不機嫌な状態のまま、副隊長だった藍染に会った。
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