第40章 Periculo-性格の不一致-
一触即発な二人はお互いを睨み合っている。
二人の仲の悪さを百年前から知っている山本達は取り乱すこともせず、その様子を眺めていた。
それ以外の者達は二人の仲の悪さに驚いている。
恋次は隣に立つ白哉にコソッと話す。
「隊長、あの二人っていつもあんな感じなんスか…?」
「昔からあのような関係だ。二人が顔を合わせれば必ず一悶着起きる。だからこそ今日の隊首会も覚悟していた」
「何が原因なんスか?」
「相性の問題だ」
「相性…?」
「“この世で最も相性の悪い同士”と周りから言われている」
恋次は未だ火花を散らしている二人を見る。
「(下手したら“犬猿の仲”かもな…)」
密かにそう思った。
「誰かを護って死にたいという君の考えは理解できんネ」
「別にあなたに理解されたいと思ってません」
「君の覚悟はただの自己犠牲に過ぎない」
「!」
「護れない命だって世の中には沢山あるだろう。
そう例えば…百年前だって同じ事だ」
「!?」
「あの時も君は何も出来ず、命を見捨てた」
「………………」
「だから君は────……」
「マユリ」
そう呼んだのは彼だった。
「もうその辺でええやろ」
「平子隊長?」
雛森は不思議そうに平子を見上げる。
「それ以上コイツ追い込むの、堪忍したってや。これでも百年前の事は自分のせいやと何度も責めて後悔したんや。オレら護る為に“罪滅ぼし”までしてな」
平子は悲しそうに梨央を見た。
「“罪滅ぼし”…?」
「!」
「どういうこと?」
「桃ちゃん…」
「百年前に何があったの?」
「それは…」
「話して、梨央ちゃん」
雛森に言われるものの、簡単には語れなかった。
「雛森副隊長もこう言ってるんだ。
話してあげ給えヨ」
どこか楽しそうにも聞こえる涅の声。
梨央はギロリと睨んでから、短い息を吐いた。
「…話してもいいですか、平子隊長」
「オレらは別に構へんで」
「そうですか」
平子の了承を得た梨央は静かに話し始める。
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