第39章 Spero-託された希望-
「けどルキアが力を求めていた彼に護る力を与えた」
「そしてみんなが力を失った一護に力を取り戻させた」
「だから彼はみんなを護って銀城と戦ったんだ」
梨央は微笑んで一護を見る。
「ねえルキア」
「!」
「銀城の次の死神代行が彼で良かった」
「…そうだな…」
その瞬間、一護の背後に剣を振り上げた月島が現れた。
「!!」
月島──!!
気付いたルキアが一護を庇うように前に飛び出す。
「ルキア!!」
その直後、ルキアの胸元が光ったかと思えば、そこからリルカが出て来て月島が振り下ろした剣で斬られてしまった。
「…リルカ…」
「…バ…バッカじゃないの…これ過去に割り込むやつじゃないじゃん…本気で斬り殺す時のやつじゃないの…!」
「どけよ!!」
「うっ」
リルカから剣を引き抜く。
「うあああ!!!死ぬな!!死ぬなよ銀城!!」
「気付きなさいよ!!!」
リルカは月島を見る。
「…いい加減…気付きなさいよ…あたし達は…銀城を救えなかったの…あたし達を救ったのは銀城…銀城を救ったのは…一護なのよ…!」
その言葉に悲痛に泣き叫ぶ月島だった。
◇◆◇
あれから任務を終えた梨央は尸魂界に帰還した。
「そういえば死神代行はどうなったの?」
「彼なら恋次くんが持って帰った銀城の遺体を現世で埋めてやりたいとかで尸魂界に来てたよ」
「はぁ?」
「そんなのジジイが許すわけ…」
「許しちゃったんだなこれが」
「マジっスか?」
「うん」
リキュールが運んで来た紅茶を飲む。
「それで銀城の遺体を現世に持って帰っちゃったんだ〜」
「自分の家族と仲間をめちゃくちゃにした男の遺体を律儀に埋葬するなんて変わってるっスね。というか許せるんスか?」
「…許すも許さないも無いんだろう。家族も仲間も元に戻った。彼は生きてる。そして銀城はただの死神代行。彼の中で、そう結論が出たんだろう」
「代行証は持って帰ったの?」
「京楽隊長が一応聞いたらしい。そしたら彼らを信用してるから持っておくそうだ」
「ふーん」
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