第39章 Spero-託された希望-
梨央は笑むと瞬歩で消え、一護の後を追った。
「いっちー、この戦いはキミが終わらせろ。心配はいらない、私が援護する。だから思う存分、戦え。絶対に後悔だけはするな」
「手を貸してくれんのはありがてえんだけどよ…あんま本気出すなよ。それでなくてもオマエ強えんだから」
「まさか。雑魚相手に本気は出さないよ」
フッと挑発めいて笑えば銀城の片眉がピクリと跳ね上がる。
「キミが危険な状況に追い込まれない限り、本気は出さないよ。冷静に物事を見極め、敵の行動の一歩先を読め。それが…戦いの基本だからね」
梨央は銀城を見据えたまま、愉しそうに言う。
「さあ諸君、命の奪り合いを始めよう」
心が逸るのを抑え、唇の端を上げて笑った。
◇◆◇
あれからどれくらいの時間が経過しただろうか
戦いを始めてからと云うものの
刃の擦れ合う音だけが響いている
「黒崎お前…自分が何故、代行証を持たされてるか知ってるか?」
「────……!」
「どういう意味だ?」
「…お前は代行証を渡された時、こう言われた筈だ。死神代行証が尸魂界にとって有益であると判断された場合、代行証を渡す決まりになっている、と…よく聞け黒崎、そいつは嘘だ」
「!」
ああ ついに知られてしまう
嘘を吐いてまであの人が
彼に代行証を渡した
本当の目的が…
「代行証の役目は監視と制御」
そう
代行証の本当の目的は
監視と制御だ
常に彼の居場所を捕捉でき
少なくとも
彼が代行証を傍に置いている時は
彼の霊圧を制御できていた
代行証は尸魂界との通信装置であり
彼の霊圧を吸収し
解析して制御する為のもの
彼は尸魂界に監視され
制御される為に
代行証を渡された
そして
この計画を発案した人物は…
「…教えてやろう。この計画の発案者は浮竹十四郎、十三番隊隊長だ」
一護は大きく目を見開く。
「護廷十三隊で最も平和を愛する男に俺達は嵌められたんだよ!一護!!」
「その口を閉じろ…」
あまりの不快感に声が低くなる。
鋭い眼光で銀城を睨み、殺気を放つ。
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