第38章 Oretis-償いの咎-
梨央はその手を取ろうとしたがモンスターの拳が二人に襲いかかる。
「「!!」」
ザシュッ
梨央と日番谷が同時にモンスターの拳を斬り捨てた。
「!?」
雪緒は驚いた表情を浮かべる。
「そんな…何で僕の命令が聞けないんだよ!!そいつを殺せよ!!そいつがお前を殺せないのは知ってるんだ!!お前がそいつを殺せば…」
「こいつは俺を殺さねえよ」
「!!」
「そして俺もこいつを殺さない」
日番谷は梨央を見る。
「お前は心まであいつに操られなかった。
お前が傷つかなくて良かった」
愛おしそうに梨央を凝視める。
すると…
「あなたを傷付けなくて良かった」
優しい声で梨央が笑った。
日番谷は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑い返す。
「愛してる」
「はい、私も愛してます」
お互いに微笑み合うと梨央は消えた。
「何でだよ…作り物の分際で…僕の命令に背くなんて…」
雪緒はショックでその場に立ち竦む。
「あんな…完璧に再現したのに…失敗作だったなんて…」
「“完璧に再現した”だと?」
「ああそうだ…僕は…」
「あいつを真似るなんて不可能だぜ」
「どういう意味だよ」
「あいつの青い瞳は…もっと綺麗なんだよ」
自分だけが知っている、梨央の瞳の色の素晴らしさ。
フッと笑う日番谷に雪緒は苛立ちを募らせた。
「海の輝きを閉じ込めたような深い青だろ。あいつは…その輝きを失っていた。“完璧に再現”は失敗だったな、神なのにな」
「黙れッ!!!」
激昂した雪緒がボタンを操作するとモンスター達が日番谷を追いかけ、攻撃を始める。
「ほらかかって来いよっ!ブッ殺してやる!!隊長なんてキレーな温室で可愛がられて育ったエリートなんだろ!!」
「………………」
「そんな奴が僕に勝てるワケないんだよ!!」
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