第38章 Oretis-償いの咎-
「───そうか、お前捨て子か」
「違う!!!」
雪緒は強く否定した。
「捨てられたんじゃない!!バカな親を僕が捨てたんだよ!!僕が自分で選んだんだ!!お前なんかにとやかく言われる筋合いは無いんだよ!!」
攻撃を躱しながら日番谷は雪緒を見る。
「父さんの金を全部僕のものに書き換えて会社を片っ端から潰してやった!子供を放ったらかすと余計な知恵をつけるんだ。それを甘く見たあいつらがバカなのさ!」
雪緒は蔑むように両親を罵る。
「自殺したのをニュースで見た時は気分が────」
タッ
「!」
「昔話に夢中で集中が切れてるぞ」
日番谷は雪緒を突き飛ばす。
すると地面が凍りついていた所に雪緒の足が付く。
「くそ…ッ」
足元から凍っていき、慌ててボタンを操作しようとするが既に装置さえも凍りついていた。
「!」
「どうした」
日番谷は雪緒の背後に立つ。
「“どこまでも俺を叩き潰す設定”、解除しなくていいのか?」
雪緒の前にモンスター達が現れる。
「う…うわあああああああああ!!!!」
恐怖で悲鳴を上げる雪緒に襲いかかろうとするモンスターを日番谷は刀で斬り捨てた。
「………は?」
自分を助けた日番谷に雪緒は驚いていた。
「…は…はははっ…はははは…」
乾いた笑いが、その場に響き渡る。
「ははははははっ!!何だよ!結局助けるんじゃないか!!そりゃそうだよなあ!!情け…」
目の付近に刀の切っ先が冷たく当てられる。
雪緒はピタリと言葉を止めた。
「…情けをかけた訳じゃねえ。お前の過去に興味も無え。お前を殺した所でこの空間も他の空間も解除されるとは限らねえからな」
雪緒に刀を突き付けたまま、日番谷は言う。
「だから交換条件でどうだ?」
「え…?」
押し当てられた切っ先から冷気が出て雪緒の体を凍り付けにしていく。
「ちょ…ちょっと…!
待ってよ、ちょっと…!!」
首と腕以外は全て凍ってしまった。
「首と腕は凍らせずにおいてやる。5分以内に空間を解除すれば命までは奪いはしねえ」
「くそっ…誰が…誰が…っ」
雪緒は悔しそうな表情を浮かべた。
next…