第38章 Oretis-償いの咎-
「“部屋分け”をする前に言葉交わしてたみたいだし、なんか親しげだったからさ…もしかして親密な関係かと思って再現してみたんだけど…当たりみたいだったね」
日番谷は雪緒を無言で睨む。
「そんな怖い顔しないでよ。言ったでしょ。この空間では僕は神なんだ。神の僕は…彼女を操ることだってできるんだ!!」
ボタンを操作すると梨央が刀を構えて地を蹴る。
そのまま日番谷に突っ込んで行き、刀を振り下ろした。
ガキィン!!
「梨央!やめろ!」
「……………」
刀で塞ぐ日番谷の声も聞こえていないようだ。
「俺はお前を傷付けたくねえ」
「……………」
「(駄目か───……)」
顔をしかめる日番谷の背後から凶暴なモンスター達が襲いかかる。
「!!」
梨央の刀を弾いてその場から瞬歩で躱す。
シュンッ
だが梨央もすぐに瞬歩で日番谷の前に現れる。
「っ!!」
ガキィン!!
「頼む…俺はお前と戦いたくない」
苦悶な表情で戦いを中断させようとする。
それでも梨央は攻撃の手を緩めない。
「あんな奴に操られてんじゃねえよ。
お前はそんな顔で人を斬るのか…?」
「………………」
光を失くしたまま、日番谷を斬ろうとする。
梨央は片足を上げ、日番谷を蹴った。
ガッ
「ぐっ……!!」
ガンッ
壁に激闘してズルズルと地面に座り込む。
梨央は日番谷に近付く。
「(力でコイツを止めるのは無理だ…)」
「あれ?もう降参?」
馬鹿にしたように雪緒は言う。
「最期は楽に死ねよ!」
ボタンを操作すれば梨央は刀を構える。
そして…日番谷に向けて振り下ろした。
「───泣いてんのか?」
ピタッ
俯いている日番谷の言葉で振り下ろされた刀が頭に当たる寸前で止まる。日番谷が顔を上げると梨央は驚いた表情をしていた。
「俺には聞こえる。
助けを求めるお前の声が」
「………………」
「もう大丈夫だ」
立ち上がった日番谷は手を差し伸べる。
「俺が助けてやる」
小さく微笑む日番谷。
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