第38章 Oretis-償いの咎-
「流石神だな。大したもんだ」
「さっきから…何いちいち小バカにしてんだよ!!ガキがっ!!」
雪緒がボタンを操ればモンスターの拳が日番谷の真上から落とされる。だがそこは器用に躱す日番谷は刀の切っ先を地面に滑らせるように移動させると氷の跡が出来ていた。
「避けてんじゃねえよ!!怖いのか!?」
「避けさせてんじゃねえよ。
加減してんのか?」
「してるんだよ!!加減しなかったらどうなるか試しに見せてやろうか!?」
巧みにボタンを連打すると日番谷の後ろに凶暴なモンスターが何体も出現する。
「!」
「この部屋から逃げてもムダだよ!次の部屋もその次の部屋も壁も天井も床も全て僕の能力だ!!そいつらはみんなどこまでもお前を追いかけて叩き潰すように設定した!」
モンスター達の魔の手が日番谷に伸びる。
ゴッ
鋭い爪を躱す日番谷。
その瞬間、雪緒は怪しげな笑みを浮かべた。
「(笑ってる───?)」
ヒュンッ
「!!」
雪緒に気を取られていると何かを切るような音が耳に届いた。
慌てて前を振り向いた時、目の前に刀が振り下ろされる。
ガキィン!!
咄嗟に自身の刀だ防いだが、日番谷は少なからず困惑した。
「!?」
その翡翠の瞳を大きく見開かせ、刀を振り下ろした人物を見て言葉を失う。
「梨央!?」
愛しい恋人の姿があった。
「どういうことだ…!?」
戸惑いの表情を浮かべる。
梨央は無表情で日番谷を見ている。
「!」
その青い瞳は、少し光を失っていた。
「ぐ……っ!」
押され気味の日番谷には恋人を傷付けることも出来ず、ただ刀で塞ぐことしかできない。
ガチガチと刃同士が音を立てて鳴る。
梨央は手に力を入れ、日番谷を刀で弾き返す。
キィン!!
軽く飛ばされた日番谷は器用に着地した。
「…………………」
日番谷は眉間に皺を寄せ、梨央を見据えている。
「どう?よく作られてるでしょ?」
雪緒は楽しそうに言う。
「これもお前の能力か」
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