第37章 Sors-定められた運命-
「…総隊長がお前に霊圧を戻した理由は2つある…1つは今話した通り…そして2つ目の理由はあいつだ…お前が現れる遥か前に死神代行として代行証を与えられ…そして自らその座を棄てて姿を消した男───……」
全員の視線は空に向けられる。
「初代死神代行、銀城空吾───……」
「初代──死神代行…!?
どういう事だよ!?あいつが───」
「代行証を渡された時…浮竹から聞いたろう」
『尸魂界にも死神代行の発生に対応した法律があってね、現れた死神代行が尸魂界にとって有益であると判断された場合、これを渡す決まりになっている───』
「“死神代行”ってのはあいつの為に作られた掟だ!」
「…日番谷隊長」
「…詳しい話はあとだ。
今はあいつに集中しろ!」
「はっ、そりゃそうだ。コッチに集中して貰わねえと困るだろうぜ…ありがとよ黒崎、てめえの能力を貰ってなきゃ今頃俺は死んでたところだ」
◇◆◇
「はっ、はっ、はっ」
黒崎くんが泣いてた
どうして?
黒崎くんと月島さんは親友なのに
どうしてこうなっちゃうの?
あたしが好きなのは月島さん
黒崎くんと出会うずっとずっと前から
いつもあたしを守ってくれて
いつもあたしに優しくしてくれて
ずっとずっと憧れてた
月島さんの言うことなら
何でも聞いてあげたい
月島さんの為なら何だって犠牲にできる
そう思ってた
だけど
だけど どうして───
黒崎くんが泣いてると
あたし どうしてこんなに苦しいの
つらいよ 苦しいよ
あたまも心臓もおなかも痛いよ
泣かないで黒崎くん
泣かないで
泣かないで
「!」
黒崎くん───
よかった 黒崎くんが泣いてない
「!」
朽木さん!
阿散井くん!
冬獅郎くん!
梨央ちゃん!
みんな……
黒崎くんを止めに来てくれたんだね…
「おかしい…みんなどうして一護の側についてるんだ…!?一護を止めに来たんじゃないのか…!?これじゃあまるで…“銀城さんを倒しに来たみたいじゃないか”…!!」
「どうした?2人共」
二人が振り返ると月島が立っていた。
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