第37章 Sors-定められた運命-
「(なんて力だ…身体能力が昇がってやがる…!!俺の与えた完現術が奴の基本性能を昇げたのか───……!!)」
銀城は顔をしかめる。
「くそ……ッ!」
落下する銀城の真上で刀を構える一護は月牙天衝を放つ。
「ぐ…く…くそ…ッこんな…こんなもんで…俺を殺せると思うな───……」
そう言い残して銀城は姿を消す。
「(ルキア…梨央…恋次…剣八…白哉…冬獅郎…一角…いや、それだけじゃねえ───……
平子…乱菊さん…卯ノ花さん…花太郎…親父…浦原さん…夜一さん…総隊長のジイさんまで───……)」
「───感じるだろ?」
「“人間への力の譲渡”は重罪なんじゃなかったのかよ…」
「しょうがねえじゃ無えか。
総隊長命令じゃあな」
『相分かった。
その力を持って寄れ、浦原喜助!』
『総隊長、それでは────』
『形はどうあれ、我等は黒崎一護に救われた。今度はその黒崎一護を我等が救う番じゃ。それに…梨央からも頼まれておるでの、断る訳にもいかん』
『梨央さんから?』
『“困っている友達がいる”“助けてほしい”とな…』
ザリッ
『総隊長命令である!!護廷十三隊全隊長・副隊長は全てこの刀に霊圧を込めよ!!黒崎一護に死神の力を取り戻させよ!!!』
「───ってな、総隊長も良いトコあんだろ」
「馬鹿言うな、トップの判断としちゃマトモじゃねえ。かつての総隊長なら絶対にこんな判断はしなかったろう…それを変えたのはお前だ、黒崎」
日番谷は言う。
「お前が受け取ったその力はお前が今までの戦いで尸魂界を変え続けてきた結果だ────胸を張って受け取れ」
「それに梨央の頼みもあったからこそ、総隊長も同意したんだろうな」
「大袈裟だなぁ」
恋次の言葉に苦笑する。
「ありがとな、梨央」
「友達が困ってるなら助けるのは当然だよ。それに私は総隊長に“友達を助ける為に協力してくれ”って頼み込んだだけで実際は何もしてない」
ガガァン!!
「何だ!?───な……」
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