第37章 Sors-定められた運命-
「でもデコピンしたことは謝らないよ☆」
「……………」
「…はっ、バカ言ってんじゃねえぞ。死神の見た目だけなぞって『死神の力が戻った』か?一度目の死神能力の譲渡が成功したのは黒崎の中に既に死神の力があったからだ」
銀城は剣を手に近付いて来る。
「だが今のそいつに死神の力は無え!俺が根刮ぎ奪い取ってやったんだからな…!その全く0の状態からてめえら二人の霊圧を注いだぐらいで黒崎の力が戻る筈が無え!!」
「馬鹿野郎」
どこからか声がした。
「ルキアと梨央だけじゃ…無えよ!!」
空に穿界門が出現し、扉が開く。
「その力には俺達全員の霊圧を込めてんだ!一護一人の霊圧ぐらい戻せねえ訳が無えだろう!!」
「恋次…!白哉…!冬獅郎…!
剣八…!一角…!」
「………!!」
「…銀城と言ったな。貴様が奪ったのは完現術とやらと融合した一護の力の上澄みに過ぎぬ。死神の力は一護の内から湧き出るもの。貴様如きが奪い尽くす事など毛頭できぬ!
一護!奴等は知らぬ、貴様を絶望させるにはこの程度では足りぬという事を!」
「彼らは知らない。キミがどれほどの絶望をくぐりぬけてきたのかということを」
「見せてやれ一護!
絶望で貴様の足は止められぬという事を!」
「…ああ」
ガシャ…ッ
「!」
一護は力強く刀を振りかぶった。
「!!」
その衝撃は凄まじかった。
「はっ!確かに月牙天衝の威力は上がったがその程度か!!アテが外れたな!こんなものじゃ俺は殺せねえぞ黒崎!!」
「…馬鹿野郎。
今のは月牙天衝じゃ無え、“剣圧”だ」
ゴッ
強い霊圧が浮かび上がる。
「…何だ…何なんだ…。
何なんだこの霊圧は!!!!」
銀城は取り乱す。
「───月牙天衝」
一護の斬撃は空気をも切り裂いた。
「…悪りィ、外した」
圧倒的な強さに唖然とする銀城。
「次は当てる」
その瞬間、危険を感じた銀城は空へと逃げる。
「(退くしか無え…!退いて態勢を立て直す!!)」
ガッ
「逃すかよ」
グッ
「ぐ……ッ」
追いかけて来た一護の手に掴まれ、銀城の体は地面に向けて放り投げられる。
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