第37章 Sors-定められた運命-
「…ルキア」
「…ああ久しぶりだ…一護。暫く見ぬ間に随分逞しく…なってないわたわけ!!」
ごっ!
「痛え!!!」
一護の頬にルキアの跳び蹴りがキマる。
「だらしなくピイピイ泣き腐りおって!!私や梨央が見張っておらぬとすぐ腑抜けるな貴様は!!ああ情けない!!」
突然蹴られた理由が解らず、頬を押さえて困惑する一護。
「…月島とやらの能力は浦原から聞いた。『過去を塗り変える』とは成程、想像するに恐ろしい能力だ…。だがそれが何だ!」
その言葉に一護は目を見開く。
梨央は目を瞑り、ルキアの言葉に唇の端を上げて笑う。
「幾ら貴様の過去を変えようと貴様の未来までは変えられぬ!失った絆ならもう一度築き直せば良いだけの事だ!違うか一護!!」
「…ルキア…一ついいか?」
「!」
「俺の過去は…別に変えられてねえ…」
「いいカオで茶々を入れるな!!」
ビュンッ
「危ねえっ!!」
一護の発言に腹を立てたルキアは手に持っていた刀を一護に向けて振った。
「危ねえよ!バカか!!久し振りだからってツッコミきつすぎだろ!!」
「たわけ!この刀に刃はついておらぬ!」
「…そういやその刀何だ?」
「これは貴様の為に浦原が用意した刀だ。これのお陰で私達は貴様にもう一度死神の力を渡す事ができた…!」
ルキアは嬉しそうに笑う。
「本当に良かったねぇ」
「!」
呑気な声がして一護は顔を向け、ギョッと目を丸くさせる。
そこにはニコニコと笑みを浮かべた梨央がいた。
その笑みに…一護は思わず身構える。
「(殴られる───!!)」
咄嗟に体をガードする体制に入る。
梨央は脇を締めて右手の拳をグッと構えた。
「(腹パンでも何でも来やが───……)」
だが握られた拳がパッと解かれ、親指と中指で丸の形を作り、それを一護の腹…ではなく、オデコに向けて勢いよく放った。
バチンッ
「Σ痛え!!?」
オデコに強烈な痛みが襲い、両手で押さえる。
「(まさかのデコピン…っ!!!)」
声も上げられない程の痛みに悶絶する一護。
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