第3章 書類配りI
【三番隊舎】
三番隊か
前隊長の後を引き継いだのは…
「どんな手を使いやがった」
憎たらしく吐き捨てた。
「神崎です」
又しても応答がない。
「開けてくれませんか」
扉を叩いてみるが誰も出て来ない。
「…神崎で[バンッ!!]…何度も呼ばないでもらえるかい?君の声が耳障りなんだ」
「何度呼んでも開けて頂けなかったので耳障りになるまで呼んでみました。市丸…隊長にお会いしたいのですが」
苛立った様子で乱暴に扉を開けた藍色の瞳を持つ男は流歌を見て嫌そうに顔をしかめている。
名は───吉良イヅル。
五番隊の副隊長である。
「隊長は留守だ。わかったら帰ってくれ。
書類なら僕が預かる」
「そうですかあのキツ…市丸隊長は不在ですか。ではまた午後に伺います」
「おい帰れよカスが」
「空気が汚れんだろうが」
「桃香ちゃんを傷付けておいてよく平然と仕事してるな」
「刺した謝罪もしないなんて最低だわ」
何を謝罪するんだよ
逆にこっちが謝ってもらいたい
面倒なことに巻き込みやがって
ま、面白いから許すけど
「いつまでそこにいるつもりだい。君がいるだけでみんな迷惑なんだ。隊の空気が乱れるからさっさと出て行ってくれ」
「副隊長は市丸隊長が戻り次第、捕獲しておいてくだされば結構です。それでは失礼します」
吉良の言葉を聞き流して扉を閉めた流歌は三番隊舎を出た。
「…あの女のせいで散々だな」
今の護廷はどうなってんだ
昔と比べたら最悪じゃないか
「早急に冴島桃香を罰しなければ」
スッと冷たい眼を宿す。
「険しい顔で歩いてるっスねー」
「!」
聞き慣れた声に後ろを振り返る。
「こんな所で何してる」
「オレ?休憩がてら女の子とお茶して来た帰り」
「ふざけんな愚図」
「いきなり罵倒された!?」
しくしくと泣き真似をする琉生からキツい香水の臭いが漂い、顔をしかめる。
「琉生…」
「何スか?」
「それで戻るな」
「は?何が?」
「臭い。」
「嘘!?だって臭い落とし…」
「いっぺん死んで。」
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