第36章 Orbis-交わる世界-
あの涼しげな笑み
誰かに似ているかと思えば…
そうか…藍染だ
この男の雰囲気は奴に似てるのだ
だからこそ苛立たしく感じるのか
「言っておくが私を斬っても無駄だ」
「どういう意味だい?」
「キミの能力を調べさせてもらった」
「…………」
「他人の過去に自分の存在を挟み込む。
それがキミの能力…そうなんだろう?」
「…どこで知った?」
「うちには優秀な仲間がいてね」
「…そこまで調べがついているとは。
流石は零番隊の隊長を務めるだけのことはある」
「やはりキミは私が零番隊隊長であることを知っていたか。道理で初めて私を見ても驚かないわけだ」
「僕の邪魔をするつもり?」
「本当は今すぐにでもキミを消すつもりだったんだが気が変わった」
「!」
「面白そうだからキミ達の茶番に付き合ってやるよ」
「イかれた隊長だな君は」
「褒め言葉として受け取っておく」
「“別件”───君は現世に来た理由をそう答えた。彼には伏せていたみたいだが…僕達を調べに来たんだろう?」
「やはりキミと銀城は繋がってたか」
「だとしたらどうする?」
「別にどうもしない。私は総隊長からキミ達を殺せなんて命令は受けてないし…殺さないよ────多分ね」
「“殺さない”…か。殺気をぶつけておいて君の言葉を信じろという方が無理だ」
「一つ…忠告しておくよ、月島」
ピリッ
「!!」
月島の体にのしかかる過度な重圧。
その強烈な霊圧に月島は顔を歪めた。
「私の友達に危害を加えてみろ。
その時は問答無用で殺す」
「………………」
「髪の毛一本も…肉片も残さず…この世界から消してやる」
怖い顔をした後、鋭い殺気を消して張り付けた笑みを浮かべてその場から立ち去った。
◇◆◇
その夜、街灯に照らされた織姫を見つけた。
手を挙げて声をかけようとすると何やら織姫は誰かを探している様子。不思議に思って背後から声をかけた。
「織姫ちゃん」
「!?」
振り向いた織姫は驚いた表情を浮かべる。
「梨央ちゃん!!」
だが梨央の顔を見るなり嬉しそうに笑った。
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