第33章 Scelus-罪深き少女-
「じゃなきゃ此処に私を呼ぶ理由はないからね」
「本当なら貴様は罪禍に収監される筈だった」
「は?」
「此処に来た貴様を我々が拘束して特殊な手錠と足枷をした後で再び罪禍に閉じ込めるつもりだったと言っている」
「!?」
男の口から聞かされた本当の目的を知って驚きを隠せない梨央は思わず机をバンっと叩いた。
「どういうことだ」
飄々としていた雰囲気が豹変して鋭い顔つきに変わる。
「尋問なんてのはウソで…本当は罪禍に来た私を拘束して閉じ込めるつもりだったの?」
「“つもり”では無い。“筈だった”と言った」
「そんなの同じ意味だろ。ねぇ監視役さん…ちゃんと順を追って説明してよ」
「貴様は“戦い過ぎた”」
「!」
その言葉で全てを悟った梨央は苛立つ様にして顔をしかめた。
「なるほどな…あの連中の仕業か」
短く舌打ちをする。
「これでも派手に暴れたつもりはなかったんだけどな…。どこかで四十六室の逆鱗に触れたか」
「逆鱗に触れたとは少し違う」
「どういうこと?」
「四十六室は虚圏に入った時から貴様の行動を常に監視していた」
「うわ悪趣味。一歩間違えれば有罪だよ」
「貴様は昔と比べて更に強さが増したようだな」
「そ?自分じゃわからない」
「四十六室は貴様の強さを指摘していた」
「……………」
「今までの戦いを通して貴様は変わった筈だ」
「ハッキリと言い切るんだね」
「藍染惣右介との戦いが貴様の中の何かを変えた」
「何も変わらないと思うけど。
ああ、だからか…」
「?」
「なるほどなァ…あの連中は私の強さに脅威を感じて私を罪禍に閉じ込めようと考えたのか。再び光の無い場所に閉じ込めてしまえば、私という化け物から世界を守ることができる」
顔を俯かせてクスクスと笑い出す梨央を男は冷めた眼で見つめている。
「つくづく甘い連中だ」
顔を上げて怖い表情を浮かべる。
「甘すぎて反吐が出る」
訝しげに言葉を吐き捨てた。
「藍染惣右介との戦いで貴様の強さを目の当たりにした四十六室は手遅れになる前に再び貴様を罪禍に閉じ込めようと考えた」
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