第33章 Scelus-罪深き少女-
「さて…案内しろ」
隊首羽織を着る。
「仕方ないから従ってやる。
だがキミに言いたいことがある」
ピリ…ッ
「…………ッ!!!」
「二度と隊舎に入るな」
「かは…ッ」
ドサッ
凄まじい霊圧に“アテられた”男はその場に倒れ込んだ。
梨央はもがき苦しむ男を冷めた眼で見つめていた。
◇◆◇
第零監獄に赴いた梨央が黒装束の男に案内されたのは白を統一した部屋だった。その中心には机と椅子が置かれている。
「まるで尋問部屋だな」
「この部屋で少々お待ち下さい」
「一応聞くけど…」
椅子を引いて座ると机に頬づえを付いて男を見る。
「私の相手をするのはキミ?」
「…いいえ」
男は一瞬、顔をしかめる仕草をした。
それを梨央は見逃さなかった。
「だろうな。
“冗談じゃない”って顔に書いてある」
フッと蔑む様に笑みを溢す。
「じゃあ監視役さんを呼んでよ」
「…監視役…ですか?」
「百年前に私の監視をしてくれたクソ真面目そうな男だよ」
「………………」
「応えてくれるだろう?」
「…少々お待ちを」
「話が早くて助かるよ」
軽蔑の眼差しを向ける男は部屋を出て行った。
「…何もあんな眼で見なくてもねぇ」
クスッと笑って椅子の背に背中を付ける。
その数分後、静かに開いた扉から一人の男が入って来た。その顔は百年前と変わっておらず、無愛想だった。
「久しぶりだね監視役さん☆」
後ろ手で扉を閉めた男は冷たい瞳で梨央を見る。
「まさかもう一度キミに会えるとは思わなかったよ」
「死刑にならん限り貴様に会うことはないと思っていた」
ガタッと椅子に座る監視役の男は梨央の瞳をジッと見つめる。
「うん…やっぱり真っ直ぐ見てくれる」
ニィッと嬉しそうに笑う。
「監視役さんだけは私を怖がったりしない」
「貴様の様な子供の何を怖がれと云うんだ」
「あはは、本当に毒舌だなァ」
「…貴様が此処に呼ばれた理由だが…」
「ああ、うん」
「判っていると思うが尋問をする為だ」
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