第32章 エイユウ ト ワカレノヒ
「一護!!」
「一護ッ!!」
「黒崎くん!!」
「黒崎!」
「いっちー!!」
「…う…うあ…あああああああああああ!!!!!」
◇◆◇
それから一月近く経った。
「あ!!」
一護は目を覚ます。
「黒崎くん!!」
「え?あれ?
ここ…俺ん家か?」
「…あぁ、貴様はあれから一月近くも眠っておったのだ…」
「…一月…、!そうだ!俺のチカラは…」
「…いっちー、自分でも解ってるはずだよ。
キミは…死神の力を失ったんだ」
「私達も浦原から聞いた」
「…そうか、聞いたのか。どうもそうらしいぜ。死神代行も返上しねえとな」
「…消失の第一段階では激痛が伴い、意識を失い、断界の中で肉体に起きた時間経過が逆流する。髪が短くなっておるだろう。それは我々が切った訳ではないぞ」
「!」
「その時点で死神の力を失い、第二段階で残った霊圧が安定して目を覚まし───程無く残る全ての霊力も消えてゆく───」
「…そうか、やっぱりな」
「…お…驚かぬのか…?」
「…いや、何となく、そんな気がしてたんだ…外に出ていいか?」
全員が家の外に出る。
「(霊の気配すら感じない。ルキアと梨央の気配も少しずつ薄れていってる。本当に俺の力は消えるんだな)」
「───お別れだ、一護」
「…そうみたいだな」
「元気でね、いっちー」
「オマエもな」
三人は別れの挨拶を交わす。
「何だ、そう淋しそうな顔をするな。貴様に私達が見えなくなっても私達からは貴様が見えているのだぞ」
「何だそれ、全然嬉しくねーよ。
あと淋しそうなカオもしてねえ!」
「強がらないで寂しいって素直に言えば?」
「だから寂しくねえし強がってもねえよ!」
「またまたー」
「…オマエほんと俺で遊ぶの好きな」
「あははは」
≪ピィーチチッ≫
「!」
一匹の小鳥が一護の回りを飛び交う。
「オマエ…!」
「なんだ一護、その鳥は?」
「綺麗な色…」
「親父が飼ってるみたいなんだけどよ…どうも俺に懐いてるんだよな」
「貴様が動物に好かれるような男には見えんが」
「ほっとけ!」
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