第32章 エイユウ ト ワカレノヒ
「名前はなんて言うの?」
「ウィズだ」
ウィズは一護の肩に止まる。
「きっとこの子はキミを守ってくれる」
「コイツが?」
「青い鳥は幸運を呼ぶんでしょ?
幸せを運ぶ鳥…素敵じゃないか」
梨央はウィズを見て微笑む。
「世界はキミのおかげで救われた」
「!」
「やっぱりキミは“希望”だった」
「希望?俺がか?」
「うん、希望だよ」
ニコッと一護に微笑みかける。
「…みんなによろしく伝えてくれ」
「…ああ」
一護の視界から梨央とルキアの姿が少しずつ見えなくなっていく。
「梨央」
「なぁに?」
「次会えたらオマエが行きたがってたケーキ屋、連れてってやるよ」
「それは嬉しいな。彼処のケーキは美味しくて絶品だって評判なんだ。種類も豊富で見栄えも綺麗だし。うん…楽しみにしてるから絶対に連れてってよね」
「おう」
一護は口許に笑みを浮かべる。
「織姫ちゃん」
「梨央ちゃん…」
「泣かないでよぉ〜」
「だって…もう会えなくなるんじゃないかって思うと…ッ」
涙を流す織姫を抱きしめて背中を優しく叩く。
「また会えるよ」
「うん…っ」
それでも泣き続ける織姫にもう一度、笑いかける。
「元気でね」
「梨央ちゃんも…!」
「うん」
織姫から離れてルキアの隣に立つ。
「最後に約束してほしいんだ」
「約束?」
梨央は一護を見て言う。
「この先どんな絶望が待ち受けていようと心だけは折らないで」
「!」
「キミは仲間を信じて。大丈夫…たとえ絶望の底に落とされても必ず希望の光はキミの元にやってくる」
「ああ、約束するよ」
そう答えた一護に微笑みかける。
「───じゃあな。ルキア、梨央」
その言葉を最後に二人は笑って一護の視界から消えていなくなった。
「ありがとう」
next…
[空座決戦編:完結]
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