第31章 ホウギョク ト ヒミツ
「い…急げ!!とりあえずこのまま路地だ!建物の裏に回って見つからないように町外れまで行こう!」
だかその言葉も虚しく、たつき達の後ろに藍染か現れた。
「「「!!!」」」
「…なに…!?
あれがそうなの…!?」
「“見つかった”と思ったかい?
違うよ、“私が捜す真似事を止めただけだ”」
すると水色が手に持っていた瓶を藍染に向かって放り投げた。
パンッ
「うわ、ホントに灰になるんだ」
瓶は藍染に当たる手前で灰と化した。
「じゃ、こっちで」
コロコロと何かを地面に転がすと白い煙が噴き出す。
水色はみんなを避難させる。
「ホラみんな逃げてっ!!」
ライターに火を付け、藍染の足元に投げ捨てた。
全員が路地に出た直後、鼓膜が破れそうな程の大きな爆発が起こった。
「…ム…ムチャクチャするわねあんた…」
だが藍染は涼しい顔で煙の中から出てきた。
「うわあああ!!やっぱり無理だった───!!」
まるで遊んでいるかのようにも捉えられるその不敵な笑みを見たケイゴは立ち止まり、刀を藍染に向けて突きつける。
「く…くそ…っ」
「!ケイゴ!!」
「この刀は一護と同じ格好の奴が持ってたんだ!これなら多分あいつに届く!」
「バカっ!!
刀が届いてもあんたは死ぬだろ!!浅野っ!!!」
刀を握り締め、緊迫した面持ちで藍染に立ち向かおうとするケイゴ。その時、七羽の背に乗った梨央が藍染の前に降り立つ。
「それ以上彼らに近付いてみろ。
崩玉が暴走する前に私が殺してやる」
冷たい表情で藍染を睨む。
「(あれが崩玉の力を手に入れた姿…)」
後ろを振り返ると恐怖で体が小刻みに震えているケイゴがいる。死ぬかもしれないという緊張感からか、顔が強張っていた。そんな彼に近付き、刀を握っている手に自分の手を重ねる。
「手を放してケイゴくん」
瞳孔が見開かれた顔でケイゴは梨央を見る。
「キミは勇敢だ。仲間を護る為に一人であの男に立ち向かった。でも…もう大丈夫。さぁ、刀を放して」
「……………」
「“コレ”はキミ達が扱うには残酷な武器だ。
あの男の為にキミが手を汚す必要はない」
もう片方の手も重ねる。
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