第30章 ミガワリ ト レイコク
ワンダーワイスの拳が山本に触れる寸前で止まる。
ギシギシ…と音を立ててワンダーワイスの拳を受け止めたのは、一本の斬魄刀だった。
「!」
「…破面風情が…私達(死神)に楯突くなよ」
突然の梨央の登場に藍染は驚いて目を見開いている。
「…怪我は」
「うちの天才科学者がくれた薬を飲みました。
戦いに支障はありません」
「そうか」
無表情でワンダーワイスを見る。
「この雑魚は私に任せて総隊長は反逆者の始末をお願いします」
「やれるんじゃな」
「はい」
「驚いたな。
てっきり死んだのだとばかり思っていた」
ワンダーワイスの攻撃を防ぎながら藍染に視線を移す。
「やはり君は簡単には死んでくれないか」
「キミに殺されるなんて冗談じゃない」
「どうしたら君は死ぬ?」
「まだ死ぬ予定は無い」
「残念だよ」
「藍染、確かにキミは強い。隊長格が四人もやられるぐらいだ。でも…そう余裕に構えていられるのもあと少しだ」
「それはどうかな」
「キミの運命はもうじき終わる。世界がキミの思い通りに動くと思うな」
瞬歩で消えワンダーワイスの前に現れた梨央は片足を振り上げ、思いきりワンダーワイスを蹴り飛ばした。
ゴッ
ガガガッ
地面を跳ねながら遠くに吹き飛ぶワンダーワイスを瞬歩で追いかける。
倒れ込むワンダーワイスの前に現れた梨央は冷たい笑みで笑っていた。
「自業自得だよ」
「!」
「お前が私の『望み』を邪魔するなら…私は不要なモノをこの世から消し去るだけだ」
突然、二人称と雰囲気が豹変した梨央にワンダーワイスは戸惑った。
「これ以上、私の邪魔をするなら…殺すぞ」
ぐにゃりと目元が歪む。
「その身を以って死を体験しろ。“殺す側”が“殺される側”になる恐怖を…存分に味わえ」
過度な威圧感と悍ましい雰囲気に呑まれたワンデーワイスは恐怖で身体が凍りつく。
「…脆そうだな、ちょっと踏んでやろうか」
片足を上げ、腕を踏みつける。
グシャッ!
「ゴロアアア!!!」
その激痛にワンダーワイスは悲鳴を上げた。
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