第3章 書類配りI
「下らない会話をするのも面倒なのでさっさと砕蜂隊長を呼んで来て下さい」
「おい新人…口の利き方に気をつけろ」
一人の隊士が流歌に歩み寄る。
「桃香ちゃんに謝れ」
「あんなクソ女に謝罪?冗談で言ってるなら全然笑えないんですけど」
バキッ!
頬を殴られ、眼鏡が吹っ飛ぶ。
「クソ女だと…?テメェこそ冗談言ってんなら許さねぇぞ、クソ野郎」
「桃香ちゃんは可憐で純粋なんだ!それをお前みたいなモブ男が否定するな!」
可憐?
純粋?
あの女が?
「ふっ…」
急に笑いが込み上げた。
「はは、あはははっ」
「何笑ってやがる」
「これは失礼。あんな女に騙されてるあなた達を見ていると本当に憐れで…。これが家畜の群れ…彼女の言った通りだな」
最後の方は聞き取ることが出来なかったが、隊士達の怒りは収まらなかった。
「なに騒いでんだ?」
「!」
声がして隊士達の後ろに目を向ける。そこにはポテチ袋を片手に抱えた大柄男がいた。
「大前田副隊長!」
二番隊副隊長 大前田希千代
「ん?テメェは…冴島を強姦して殺そうとした奴じゃねえか」
「(こいつが副官…)」
「おい誰だ?害虫をうちに入れやがったのは?同じ空気吸ってるだけで気持ち悪ィぜ。とっとと窓開けてその害虫追い出せ」
「ははは!そりゃ言い過ぎですよ副隊長!」
「泣いちゃったらどうするんですか〜w」
「かわいそー!あははは!」
「(この場に詩調がいなくて助かった。キレて修羅場になってただろうからな。)」
「おい、聞こえなかったのか?害虫は早く出てけって言ってんだよ」
「聞こえてますよ。僕は書類を届けに来ただけです」
ガシッ
ドスドスと歩み寄る大前田に前髪を掴まれ、強制的に上を向かされる。
「書類なら俺様が受け取ってやるよ。テメェは書類だけ置いて巣に帰れ」
「(こいつ…どっちの手で掴んでる?まさか食った方の手じゃないだろうな?)」
「美少年だか知らねえが幻滅だな。テメェみたいなカスに冴島は重傷を負わされたのか」
「(薄汚い手で触りやがって…)」
「ほら、さっさと書類寄越せ」
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