第3章 書類配りI
「僕が冴島四席を刺した瞬間の証拠です」
「そんなの目撃者に確認すれば一発だろ」
「何か勘違いされているようなので忠告しておきます」
「忠告?」
「その目撃者が見たのは、“血を流して倒れた”冴島四席です」
「だからテメェが…!」
「そして僕は血の付いたナイフを“持っていただけ”。これがどういう意味か分かりますか?」
「そのナイフで桃香ちゃんを刺したんだろ!」
「それにお前の指紋がナイフに残ってるはずだ!」
「そりゃそうですよ。だって僕はナイフを握ってたんだし。指紋は付くでしょうね」
「ほらな!だからお前が桃香ちゃんを刺したんだ!」
「でも僕が冴島四席を刺した証拠にはなりません」
「どういうことだよ」
「ハァ…もう一度言うので僕の言葉をちゃんと聞いてください。目撃者の彼女が見たのは“血を流して倒れている冴島四席と、ナイフを握っていた僕”です」
「!」
「そんな彼女が冴島四席を刺した瞬間の僕をどうやって目撃するんです?」
「それは…」
「ご理解頂けたでしょうか」
正論を言われ、隊士達は悔しそうな顔を揃えて押し黙る。
「それが何だって言うんだよ…」
「あの場にはお前と桃香ちゃんしかいなかった!だからお前が刺したんだ!」
「ですから彼女が自分で刺したんですよ」
「嘘吐くなんて見苦しいぜ。とっとと認めちまえよ!そして桃香ちゃんの前で土下座して謝れ!」
「認めません」
「往生際が悪ィんだよ!!」
「どっちが。」
「何だと?」
「血の付いたナイフを持ってただけで犯人扱いとは解せませんね。確かな証拠もないのに僕を犯罪者に仕立て上げるのはやめてください」
「あァ!?」
「あなた達の言葉は煩わしい」
ピキッと青筋を浮かべる隊士達。
「おいクソ野郎…オマエ女に飢えてんのか?だから桃香ちゃんを強姦したんだろ?」
一触即発のオーラが漂う。
「どういう神経してんだ」
「本当に最低だわ」
「いっそ死んじまえ」
「(言いたい放題だな。)」
誰があんな女に飢えるか
こっちも女だ莫迦共
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