第29章 バケモノ ト ジコギセイ
その頃、現世への侵略に成功した藍染は平子の斬魄刀『逆撫』の能力にかかり、逆様の世界を見せられていた。
そして狛村と檜佐木との敗戦に敗れた東仙は瀕死寸前の状態で、かつての友である狛村の思いに涙して懺悔の言葉を述べるが藍染の手によって消されてしまった。
「藍染!!!!」
身勝手さに激昂する狛村に対して涼しげな表情を浮かべている藍染。
すると空気に亀裂が入り、割れたその中から一護が剣を構えて現れた。
「(後ろだ!!!)」
斬撃を打つが簡単に防がれる。
「───久しぶりだね…旅禍の少年」
「(一撃目を防がれた───……!)」
「良い斬撃だが場所が良くない。首の後ろは生物の最大の死角だよ。そんな場所になんの防御も施さず戦いに挑むと思うかい?」
余裕な笑みを浮かべる藍染だが…
「ならそれ以外の場所ならどうだ」
「!!」
咄嗟に反応した藍染が足元に目を向けるとそこには身を屈めて体勢を低くした梨央が刀を構えて潜んでいた。
シュッ
「っ……!」
思いきり振り抜くが躱されてしまう。
「チッ」
素早いな…
「梨央…!」
「足は生物の第二の死角だ。両脚を切断すれば少しはその余裕が無くなると思ったのに…残念だな」
とはいえ…
最初の一撃は判断を誤ったな
チラリと一護を横目で見る。
「(迂闊だった…!どこかでビビってたんだ、虚化を操り損ねるかもしれないと。瞬間の判断を誤った。今の一撃は虚化して撃つべきだった!!!)」
「…何を考えているか当ててみせようか。初撃の判断は誤った、今の一撃は虚化して撃つべきだった。虚化して撃てば一撃で決められた───撃ってご覧。その考えが思い上がりだと教えよう」
「挑発だ乗るな」
だが藍染の挑発に見事乗せられた一護は梨央の忠告を無視して虚化した。
「そうだ、来い」
「駄目だってば!!」
「月牙…天衝!!!」
制止の声も届かず、斬撃を撃ったが藍染は軽々と躱す。
「どうした届いてないぞ」
ダンッ
「…何故そう間合いを取る?確実に当てたいならば近付いて撃つべきだ。それとも近付くことで私の一部でも視界から外れることが恐ろしいか?」
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