第28章 ザンゾウ ト カタワレ
「誰にも理解されない十字架を一人で抱えてる。ねぇキミは…誰かを守る為なら自分を犠牲にする人?」
「何だよ、その質問…」
「大事なコトだよ?」
「…………、…そりゃ誰も傷付いて欲しくないし、俺が守れる範囲なら自分を犠牲にしてでも助けたい」
「うん。彼女もそうだった。誰も傷付いて欲しくないから自分の命を犠牲にして救おうとした。でもそれが周りにとって理解し難いものだった」
「!」
「彼女の思いは理解されなかった」
「………………」
「それでも彼女は大切なものを守ろうとする。例え彼女の守り方が間違っていると否定されても、彼女は己の命を犠牲にして戦うんだ」
ゆっくりと一護に歩み寄り、微笑む。
「それが彼女の生き方、守り方。だからキミも犠牲を払う事があったらそれ相応の覚悟が必要だ。彼女と同じように十字架を背負うことになるからね」
「十字架?」
「けどキミなら大丈夫そうだ」
少女は机の上に置いてあるネックレスを手に取る。
「それ…すげえ大事なモンなんだな」
「彼女からの預かり物なんだ」
「梨央の?」
「とても大事な物だよ」
「オマエの瞳の色と同じだな」
「うん」
掌の中でにある指輪を見つめる。
「以前、この指輪に触れようとした者がいた。触れる寸前でこの世界から追い出したけどね」
眉間を寄せて顔をしかめた。
「さて…長々と噺に付き合わせてごめんね」
「いや、オマエと話すの楽しいし別に謝んなくていいよ」
「!ふふっ、本当に優しいね」
「だから優しくねえって」
「あの子は素晴らしい友達を持てて幸せだろうな」
優しい眼差しを一護に向ける。
「もしかしてキミなら…」
“─────”
「?悪い、よく聞こえなかった」
「何でもないよ」
ボソッと呟いた声は一護には届かず、少女はパンっと軽く手を合わせ、話題を変える。
「キミをこの世界に喚んだのは私だ」
「何の為に?」
「力を貸してくれないか。
キミの虚化を止める為に」
「!!そうだ俺…!!ウルキオラと戦って…それで…」
「胸に孔を空けられて再起不能になった」
「!?」
.