第27章 ホロウカ ト カイホウ
「梨央、もし石田が体張って井上を守れなかったらオマエの力で二人を守ってくれ」
「わかった」
ザリ…
「…待たせたなウルキオラ。いくぜ、これがてめえの見たがってた…虚化だ」
仮面を出現させた一護はウルキオラに斬りかかる。
縦に構えた刀で一護の刀を受け止めるが、ウルキオラは素早く一護から距離を取ってヤミーがメノリを吹き飛ばした際に出来た巨大な穴から塔の外に飛び出た。
そしてウルキオラは空に向かって飛び始める。
「くそ…っどこまで行く気だ…!!」
逃さないように一護もウルキオラの後を追う。
天蓋を抜けるとそこは暗闇に染められた世界だった。
「ここは────虚夜宮の天蓋の上…?」
「そうだ、第4十刃以上の十刃は────“天蓋の下での解放”を禁じられている。
────鎖せ『黒翼大魔(ムルシエラゴ)』」
大きな黒い翼が生えたウルキオラの刀剣解放の姿に一護は大きく目を見開かせた。
「動揺するなよ」
「!」
「構えを崩すな、意識を張り巡らせろ、一瞬の気も緩めるな」
ピンと張りつめた空気が流れる。
その瞬間だった。
そこから一瞬にして姿を消したウルキオラに一護は驚く。
気付くとウルキオラは一護の目の前に移動していた。
反応が遅れた一護はウルキオラの攻撃に巻き込まれる。
砂が噴火するように押し上げられた。
「…反射的に月牙を出したか…賢明な判断だ」
仮面が割れ、血が流れる。
「そうしていなければ今頃貴様の首は俺の足許にあった」
一護は苦しそうに呼吸をする。
「(嘘だろ…速過ぎる…こんなことがあるかよ…。虚化の状態で…全く反応できなかった────……)」
「…“虚化”とやらの能力は増大している。仮面を出していられる時間も増した…だが、こうも容易く割れるとはな」
ウルキオラは刀を握りしめ、一護に向けて振り下ろした。
「残念だ」
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