第27章 ホロウカ ト カイホウ
そしてヤミーの視線が梨央を捉える。
「てめえは…!!」
「見ない間に随分とデカくなったな」
蔑むようにして笑えばヤミーはニヤリと口角を上げた。
「ウルキオラァ!!
この女共は殺してもいいんだよなぁ!?」
迫り来るヤミーに恐怖心を覚えた織姫は梨央の死覇装を掴む。
「大丈夫だよ」
優しく笑いかけてヤミーに視線を戻す。
「キミが私を殺す?
はっ…面白い冗談だな」
「冗談かどうか試してみるかァ!?」
「また不様な姿を晒す前に少しは自分の愚かさを恥じろ」
「不様な姿を晒すのはてめえだ!!
今度こそ俺がぶっ殺してやる!!」
「できるものならやってみろ。だがその前に…」
スッと目を細める。
「背後に注意しろ」
「あ?背後?」
後ろを振り返ると白装飾に身を包んだ雨竜が弓を構えていた。驚くヤミーに雨竜は矢を放つ。放たれた矢はヤミーの腕に突き刺さった。
「石田!!!」
「なんだテメエゴラァ!!
どっからわいて出やがった!!」
「あれだけの力で射って貫通しないのか…頑丈だな」
雨竜を捕まえようとヤミーは手を伸ばす。
「だけどその先は気をつけて」
その時、ヤミーの足元が爆発した。
「胡散臭い科学者に貰った破面専用の地雷を仕掛けておいたから」
地雷が起こったおかげで地面に穴が空き、ヤミーは落ちて行った。
「雨竜くん」
「やぁ仁科さん、無事で何よりだよ」
「お互いにね」
「……石田」
「何だ、戦闘中に質問か?呑気な奴だ。何が訊きたい。僕は涅マユリの治療を受けた。阿散井を先に治療したから僕は遅くなった。地雷はその涅から持たされた。霊圧センサーの範囲内に破面が入ると爆発する。下の階の天井を削って埋めておいた。他に何か疑問はあるか?」
梨央の口元に笑みが浮かぶ。
それは一護も同じだった。
「…最初からギモンなんかいっこも無えよ。勝手にベラベラ喋りやがって…めんどくせー奴」
身を翻した一護は梨央達に背を向ける。
「井上を頼む。俺の霊圧が井上の六花で防ぎ切れなくなったらオマエが体張って守ってくれ」
「──言われなくてもそのつもりだ」
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