第27章 ホロウカ ト カイホウ
「殺気を剥き出しで来るとは解せないな。
彼女に危害を加えるなら許さないよ」
「あんたなんかに用はないのよ」
「私もキミ達に用はない。だが、私の大事な友達を傷付けるなら話は別だ。いくら女の子と云えど容赦はしない」
黒髪をツインテールに結んだ少女────ロリ・アイヴァーンは憎たらしそうに梨央を睨み付けて、織姫に視線を移す。
「あたしのこと憶えてる?憶えてないかもね。あんたみたいな化け物があたしみたいなフツーの奴のこと憶えてる必要無いもんね!でもそうしてその女に護られてるのも今のうちよ」
ロリは憎しみと怒りで顔を歪ませている。
「藍染様は言われたわ。あんたは“用済み”だって。わかる?これでもうあんたに何しても藍染様のお叱りを受けることは無くなったってことよ。あんた、終わったのよ。あんたがあたしから奪っていった何もかもあんたから毟り奪ってやるわ…!!!」
「井上!!」
「いっちー」
「!」
助けに来ようとする一護を制止させ、梨央はロリ達に視線を向けたまま、一護に言葉を投げかける。
「織姫ちゃんは私に任せてキミは自分の役目を果たせ。なに…案ずることはない。破面ごときに敗けるほど、私は弱くないからね」
「悪ィ…任せた」
「任された」
ふと笑みを溢す。
その瞬間、勢いよく床が崩壊した。
「ウ〜ル〜キ〜オ〜ラ〜あ。
手伝いに来てやったぜえ〜」
床をぶち破って現れたのは巨体を持つ十刃だった。
「俺が何時手出ししろなど言った?ヤミー」
こいつ
天井をぶち破ってきたのか?
「つれねえ事言うなよ。その死神のガキ、随分と強くなったみてえじゃねえか。俺にもやらせろよ」
「────……そうか、どうやら“完全に回復”したらしいな。だがお前の仕事はここには無い。お前は戻って寝るか下の隊長格共を片付けていろ」
「何だよケチケチすんなよ!ウルキオラ!!」
「“その状態”になると我儘が増すのはお前の欠点だヤミー」
「…ヤ…ヤミー…」
「ああん?」
恐怖が含んだか細い声で名前を呼ばれ、ヤミーは視線を下に向ける。
そして短髪の少女────メノリを大きな手で吹き飛ばし、続いてロリも同じように塔の外に投げ出された。
.