第26章 ヌレギヌ ト サイカ
「たしかに百年は気が遠くなるほど永い。けどあいつは独りで頑張ってんだ。それに俺達が応えてやらないでどうする」
「そうね…あんたの言う通りかもしれない」
詩調はゆっくりと蒼生の胸ぐらから手を放す。
「ごめんなさい…やり過ぎたわ」
「お前が納得できないのも判る。けど…零番隊が解散することにあいつは同意したんだろ。だから既に決定した状態で俺達に伝えられた。これは所謂…“隊長命令”なのかもしれねえな」
「そう…隊長命令なら…従うしかないわね」
だが詩調の表情は暗い。
「(俺達はあいつを信じて待つだけだ。)」
蒼生はギュッと掌を握り締めた。
「(だから…お前も頑張れ、梨央───。)」
「蒼ちゃんが迎えに行ってあげて」
「!」
「やっぱり一番最初は蒼ちゃんに会いたいと思うから」
「いいのか?」
「なに遠慮してんのよ。あんたは兄なんだから妹を迎えに行くのは当然の義務でしょ」
「そのほうが梨央チャンも嬉しいと思うっス」
「!」
「だから蒼生が迎えに行って」
「ああ、わかった」
みんなを心配させないように気丈に振る舞う蒼生だが本心では梨央のことをとても心配していた。
「これからお主らは護廷十三隊に所属してもらう。何処の隊に配属するかは自分達で決めよ」
「十三隊か…」
「本当に…バラバラになるんだ」
それは残酷な決断だった。
「俺は十一番隊でいい」
「僕は十三番隊」
「…五番隊にするわ」
「!しぃちゃん…」
「勘違いしないで。別に藍染に復讐しようとか考えてないわ。ほら…あたしの席も五でしょ?だから五番隊ってだけよ」
「…………………」
「オレは三番隊にするっス」
「霙は四番隊…」
「うむ、では確認じゃ」
山本は紙に書き留めた名前と配属先を読み上げる。
「高峰蒼生、十一番隊」
「流祇流雅、十三番隊」
「御影琉生、三番隊」
「一色詩調、五番隊」
「鬼灯霙、四番隊」
読み終えると山本は全員の顔を見渡す。
「すまんが斬魄刀を預からせてもらう」
「ど、どうして斬魄刀を…」
「すまんの、決まりなんじゃ」
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