第26章 ヌレギヌ ト サイカ
「そんな…それじゃあたし達は…何で戦えば…」
「浅打で代用してもらう」
「浅打ですって!?」
「刀まで手放すんスか…」
「やだ…」
霙はギュッと刀を抱きかかえる。
「桜姫は霙が初めて手にした斬魄刀だもん…。一緒に戦って来たのに突然手放すなんて無理だよ!!」
「言う通りにしろ」
「蒼ちゃん…でも…」
「ここにいる全員お前と同じ気持ちだ。けど駄々こねたって仕方ねえだろ。零番隊は解散するんだ。俺達はもう…零を名乗って刀を振ることはない。俺達がどんなに拒もうと…運命は変わらねえよ」
「でも…でもぉ…っ」
大事な玩具を手放したくない子供のように、桜姫を手放すことを頑なに拒む霙は軽く首を振って泣き出す。
「霙チャン。たしかにみんなと離れるのはイヤかもしれない。でもオレ達は一生会えなくなるわけじゃない。ほんの少し、我慢するだけ」
「るーたん…」
「御影の言う通りよ」
「おっ、詩調チャンと同意見なんて嬉しいっス♪」
「黙りなさいゴミ虫。」
「相変わらず辛辣!!」
「頑張りましょう霙。
隊長だって頑張ってるわ」
「しぃちゃん…」
真っ赤に腫らした目で詩調と琉生を見る。
「あいつには会えないのか?」
「面会謝絶じゃ」
「そうか…」
「すまんの」
山本は申し訳なさそうに謝る。
「…ジジイ、さっきは悪かった」
「!」
「反省してる」
「気にしておらんよ」
ふと顔を緩めて山本は笑んだ。
「──斬魄刀を。」
蒼生達は差していた斬魄刀を抜いて山本に預けた。
「なんか…寂しいな」
「変な感じだね」
「みっくん…」
また泣きそうになる霙の頭に手を置いて優しく微笑む雅。
「辛いだろうけど一緒に頑張ろう」
「うん…っ!」
涙を拭いて頷いた霙に雅は小さく笑う。
「総隊長」
「!」
「僕達なら大丈夫です」
「覚悟ならできた」
その顔に迷いの色は見られない。
山本は悲しい表情を浮かべる。
「では言い渡す」
持っていた杖を軽く床に叩きつけた。
「零番隊を解散とする────。」
next…
[過去編:完結]
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