第26章 ヌレギヌ ト サイカ
山本に呼び出された蒼生達は一番隊舎に集まっていた。
「ねぇ総隊長、平りん達はどうなったの?」
「平子真子を含めた八名の隊長格は『虚化』の実験に使われ、解除する方法が見つかるまで現世にて身を潜める形となった」
「虚化…?」
聞きなれない言葉に蒼生は疑問を浮かべる。
「同時に握菱鉄裁は禁術行使の罪により第三地下監獄“衆合”に投獄。浦原喜助は禁忌事象研究及び行使・儕輩欺瞞重致傷の罪により霊力全剥奪の上、現世に永久追放された」
その場にいた全員が驚いた表情を見せた。
「(嫌な予感がする。)」
蒼生は固く口を結んで顔を強張らせる。
「(浦原喜助も…握菱鉄裁も…平子真子を含めた八名の隊士達も…“全員があの事件に関わっていた”。)」
「!」
山本は微かにグラついている霊圧に気付く。
「(あれは仕組まれたものだった。俺達を誘き出す為の罠だった。仮に足止めだとしても…何の為に?)」
ぐるぐる回る思考を必死に回転させる。
「!」
そこで蒼生は何か閃いたようにハッとした。
「(まさか…梨央が関わってんじゃねえだろうな…?)」
ドクンッと心臓が嫌な音を立てて跳ねる。
「おい…ジジィ」
震える声で山本を呼ぶ。
「あいつは…梨央はあれからどうなった?」
「蒼ちゃん…?」
「四十六室に連行されただろ。
いつ…解放される?」
「…………………」
「いつ…俺達のところに帰って来る」
段々と蒼生の口調に鋭さが増す。
山本は閉じていた口を重く開き、蒼生達に告げた。
「梨央は…帰って来ない」
「え!?」
その答えに霙は驚き、蒼生は眉間にシワを寄せてグッと顔をしかめ、山本をキツく睨みつけた。
「どういうこと!?」
詩調と琉生も霙同様、目を見開いて山本を見ている。
突き刺さる全員の視線に山本は静かに小さな息を吐いた。
「梨央は虚化の実験を計画・試行した罪で第零監獄“罪禍”にて百年の投獄が言い渡された」
「っ!?」
「投獄!?」
「百年ってどうして!?」
「何でそんなことになってんスか!」
あまりのショックに動揺を隠せない。
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