第26章 ヌレギヌ ト サイカ
ダァァァンッ!!!
「「!!」」
その場に凄まじい音が鳴り響いた。
その大きな音に四十六室達は驚いて体をビクつかせ、何事だと騒ぎ始める。
「ふざけるなよ」
身が震える程の低くて冷たい声がした。
その一言で周囲はシン…と静まり返る。
「勝手に入りやがって…泥棒かよ」
いい加減な四十六室の言葉にキレた梨央は床を思いきり足で踏みつけた。地震が起きたのではないかと思う程の衝撃で、四十六室は彼女の空気に圧倒されて言葉を失っている。
自由を奪われた両手の手錠もミシミシと音を立てていた。怖い顔を浮かべた梨央は冷たい双眼で四十六室を睨みつける。
「な、なんだね…」
突如、雰囲気を豹変させた梨央に完全に体を凝縮させている。その殺気はその場にいる全員を凍りつかせた。
「黙って聞いていればさっきから誰に向かって命令している。口を慎め」
「「「!!」」」
「お前達は忌まわしき存在である私をどうしても犯人に仕立てたいようだが…これだけは言っておく」
それは普段の梨央とは何もかもが違っていた。
「いつか必ずお前達の寝首を奪りに“死神の仮面を被った悪魔”が現れるだろう。今回のお前達の発言と態度は許してやるが、次、私の機嫌を損ねてみろ。その悪魔がお前達を殺す前に私がお前達を皆殺しにしてやる」
上から目線で物を言う梨央に四十六室達は怒りでワナワナと体が震え出す。
「これは心優しい私からの忠告だ。素直に聞き入れた方が身の為だとは思うがな」
激昂した裁判官が声を荒げる。
「判決を言い渡ぁす!!」
ビリビリとした圧が伝わるも梨央にはビクともしない。
「零番隊隊長、仁科梨央!!虚化実験主犯及び試行・瀞霊廷に混乱と悲劇を招いた罪により斬魄刀没収の上、地下監獄最上層第零監獄“罪禍”にて百年の投獄とする!!!」
「第零監獄…罪禍…」
「化け物を鎖で繋いでおくに相応しい牢だろう」
「なるほど…“化け物”か…クク…ッ」
「何が可笑しい!?」
「精々その化け物に呪い殺されないように気をつけるんだな」
馬鹿にしたように笑う。
「っ、早く連れて行け…!!」
.