第26章 ヌレギヌ ト サイカ
「…これは何かの間違いです」
「ここまで往生際が悪いとはな」
「事実です」
「発言許可を与えたかね?」
「!」
「査問に呼びたくもない君を呼んだんだ。回答以外で発言すべきではない。質問されたことだけ答え給え、零番隊隊長」
「全て偽りです」
「真実は別に在ると?」
梨央は頷いた。
「実に見苦しい」
「…なんだと」
「自分の犯した罪から逃れようなど甘い考えを示すな」
「ある人物に罠を仕掛けられました。
私に濡れ衣を着せたのはそいつです」
「いい加減に罪を認めたらどうかね」
「やってもいない罪をどうやって認めるんです」
「君がやったんだろう?」
「私を陥れる為に最初から全て仕組まれていたんです」
「二度目だ零番隊隊長。
いくら君でも次は別の罪状を与えるぞ」
「別の罪状って…」
「そこまで云うなら特別に発言を許可しよう」
「!」
「自分が犯人じゃないと云うなら誰が犯人だと言うのかね?」
「藍染惣右介、市丸ギン、東仙要です」
「フッ…」
「?」
その答えに四十六室達は憐れむようにクスクスと笑い始めた。
「何が可笑しい」
「これは失敬。頭の良い君でもそんな見え透いた嘘を吐くんだと思っただけだ」
馬鹿にした声で賢者が云う。
続いて一人の賢者も愉快そうに声を弾ませて言った。
「良い事を教えてあげよう零番隊隊長」
「……………」
「残念だがその三人は昨晩、瀞霊廷を出ていない」
「馬鹿な…!!」
おかしい!!
そんなはずはない!!
確かに“記憶”で視た!!
あの場に奴らはいた!!
「信じられない…という顔だね」
「…証拠はあるんですか」
「ある」
「!」
「それも決定的な証拠だ」
「百二十四名の隊士と一名の隊長がそれを証言している。疑問を差し込む余地など無い」
何が…どうなって…
《御報告申し上げます!》
「!」
「十二番隊舎研究棟以外からも“虚化”の研究と思わしき痕跡が多数発見されました!」
「ほぉ…それは何処だ?」
まさか…
「零番隊舎の地下室からです!!」
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