第26章 ヌレギヌ ト サイカ
尸魂界に於いて、霊王の代弁者として死神達を導き、時には裁きを与える最高司法機関、中央四十六室。
四十人の賢者と六人の裁判官で構成される。
尸魂界・現世を問わず死神の犯した罪咎は全てここで裁かれ、その裁定の執行に武力が必要と判断されれば、隠密機動・鬼道衆・護廷十三隊等の各実行部隊に命令が下される。
そして一度下った裁定にはたとえ隊長格といえど異を唱えることは許されない。
ただ一人、彼女を除いては──。
「……………」
後ろ手で両手を拘束された梨央は意味も分からず、四十六室の前に突き出された。
「昨晩十二の上刻頃、君は何処に居た?」
「突然何…」
「質問しているのはこちらだ」
「…総隊長の命令で西方外区第六区の森林から数㎞離れた場所にて大量に発生した虚の処理を仲間と共に行っていました」
そう答えるとフッと嘲笑う声がした。
「嘘を吐くとは実に賤しい」
「は?」
「我々が受けた報告と今の君の発言は矛盾している」
「どういう意味です」
「君は自分の自己満足のために藍染惣右介、市丸ギン、東仙要の三名を仲間に誘い込み、“君が虚化の実験を計画し、五番隊隊長を始めとする八名の隊長格に対して試行した”と聞いているが?」
「な……っ!?」
なんだそれは!!
こいつらは何を言っている!?
私が自己満足を得る為に
あの三人を仲間に誘い込んで
虚化を計画して試行しただと!?
冗談じゃない….!!
そもそも虚化なんて知らないぞ!!
「その顔は肯定と受け取るが?」
何がどうなってる
何で“私がこの場にいる”
奴らは何に対して私を尋問している?
誰が何の為に…
「!」
そこでハッとして気付く。
記憶の中で見たあの男の言葉を────。
『“全ての準備は整った”』
「そういう…ことか…」
やられた─────!!
ギリッと歯を噛み締める。
最初から“こうするつもりだった”んだな
私を世界から切り離す為に!!
あんな罠を仕掛けたのか!!
どうして“最後まで気付かなかった”!!
あの男の思惑に!!
「(騙されるなんて───!!!)」
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