第25章 フリコ ト カコ
「彼女は君と同じ“天才”と喚ぶに相応しい人だよ」
「ふーん…別嬪さんやね」
「お気遣いどうも…」
「名前はなんて言うん?」
「仁科梨央だ」
なんだ この子供…
何か…引っかかる
「隊首羽織着てるゆうことは…どっかの隊長サン?」
「零番隊だ。聞いたことは?」
「知っとるよ。最強戦闘部隊なんやろ?すごいなァ、こんな別嬪さんが刀握って虚斬るんやろ?ボク、尊敬しますわ」
こいつもか
口先だけで
本心を隠す
「仁科隊長の瞳の色は青なんやね。ボク、水色。なんや近い色で嬉しいわぁ」
「キミは大して私に興味ないくせに、よくそこまで褒められるな」
軽蔑の眼差しを向ける。
京都弁を喋る少年はキョトンとした後、にんまりと笑う。
「興味はありますよ。だって最強の死神なんやろ?仁科隊長。そないな人に興味持たん方がおかしいわ」
「…………」
「ところで…何で仁科隊長が此処におるん?」
「藍染がキミを私に紹介したいと何度もしつこく頼み込むから仕方なく時間を貸してやったんだ」
腕を組み、ふんっと鼻を鳴らす。
「……………」
それを聞いた少年はチラリと藍染に視線を送る。
涼しい顔を浮かべたままの藍染は何かを伝えるように少年をジッと見つめている。
その向けられた眼差しの意味を理解した少年は藍染から梨央に視線を戻すとニコッと笑った。
「自己紹介がまだやったね。市丸ギンや、よろしゅう。瞳の色が近い同士、これからも仲ようしよな?……仁科隊長」
顔をしかめたままの梨央は藍染を盗み見る。
この男…何を企んでる?
「そういえばキミはたった一年で真央霊術院を卒業したらしいな?」
「それがどないしたん?」
「本当に天才だと思ってな。因みに自慢だが私はたった三ヶ月で卒業した」
「仁科隊長は別嬪さんやのに負けず嫌いなんやね。それともボクを馬鹿にしてるん?」
「馬鹿にしたように捉えられたのなら謝ろう。だがキミこそ、私を“そういう目”で見ているからお互い様じゃないか」
「“そういう目”って…?」
わざとらしく小首を傾げる市丸。
.