第25章 フリコ ト カコ
「そんなに強引に抜いたら崩れるっスよ」
「もう遅いわ」
「おい、無理やり引き抜くんじゃ…」
バサバサーッ
「だから言っただろうが!」
「ビンゴ!これだ!」
「それが変死事件の書類?」
「まだ手元にあって良かった」
「捨てたら再発行だよ」
「うわ…期限ギリギリじゃん」
書類を覗き込んだ琉生が、げっ、と顔をしかめる。
「ジジィに叱られんぞ。
というか散らばった書類に誰か触れろよ」
梨央が無理やり引き抜いたことで崩れた無数の書類が床に散乱している。
「もし本当に怪奇現象なら嬉しいな」
「何も嬉しくねえよ。おい、この書類提出期限過ぎてんぞ。こっちは…ゲッ、十二番隊宛てじゃねえか…」
床に散らばった書類を拾い上げる蒼生。
「ねぇねぇみっくん!
宇宙人とかだったらどうする?」
「どんな言語喋るんだろ」
「霙はねー友達になりたいなー」
「なってどうすんだよ…」
「蒼生クンは興味ないんスか?」
「怪奇現象の方にはな」
「九番隊も調査に出てるって言うし
うちでも調べようと思う」
「賛成ー☆」
「その前にお前はこの書類を十二番隊に提出して来い」
「えー」
「拒否は認めん。さっさと行け」
「…仕方ないか」
◇◆◇
【十二番隊舎】
「フム…良いネ…良い感じだヨ…!」
ガラス管の中に入った液体を眺める男。
名は涅マユリ────。
彼は以前、“危険分子”として『蛆虫の巣』に強制収容されていた。
「オイ!二十二番の容器はまだかネ!」
大量の容器を抱えた少女が覚束ない足取りで歩く。
「…全く、そんな調子じゃ日が暮れてしまうヨ」
「じゃかァしァっ!!!」
両手いっぱいに抱え込んでいた容器を乱暴に床に叩きつけた。
「ヒトが親切で手伝ったっとったら何やねんその口のきき方は!!フザけんなやハゲ虫コラァ!!」
「…何を急に怒っているのかネ?
君のそういう処…正直引くヨ」
「やかましい言うてるやろ!!!そもそもなんでウチがオマエの手伝いせなあかんねん!!ウチ副隊長やぞ!オマエ何席か言うてみい!!」
「笑止。この私に席次など必要ないのだヨ」
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