第25章 フリコ ト カコ
「それで…何です、その変死事件て…」
「ここ一月ほど流魂街の住人が消える事件が続発しとる。原因は不明や」
「消える?それは謎ですね」
「せやろ」
「でも人が消えるなんてあり得るのー?」
「服だけ残して跡形も無く“消える”ねん。死んで霊子化するんやったら着とった服も消える。死んだんやない。“生きたまま人の形を保てんようになって消滅した”そうとしか考えられへん」
「怪奇現象みたーい。
みっくんが好きそうな事件だねー」
「ついでにあの嫌味ゾン…いえ、涅が喜びそうな事件です。しかし…それだけでは情報が少ないですね」
「もっと有力な情報ないのー?」
「スマンなァ、俺も卯ノ花隊長に言われたことをそのまま言うてるだけや。意味がわからへん。ともかくその原因を調べる為に今、九番隊が調査に出とる」
「わかりました。その変死事件、こっちでも詳しく調べてみます」
「頼むで」
◇◆◇
隊舎に戻って山積みになってる書類の中から変死事件について書かれている紙を探す。
「なに探してるの?」
「んー…変死事件」
「え?」
「変死事件…なんだそれ?」
各々仕事していた手を止めて梨央を見る。
「一月ほど前に流魂街で起きた事件だお☆」
「おっかしいなぁ…この辺だと思うんだけど…」
「待て…そんな事件が起こってるなんて話は初耳だぞ。お前まさか…適当に“流した”んじゃねえだろうな?」
「ちゃんと内容を確認して処理した…気がする。」
「曖昧じゃねえか!」
「いやあ〜人の記憶って完璧じゃないネ☆」
「退け雅。こいつには説教というものを…」
「まあまあ蒼生」
青筋を浮かべながら梨央に近付く蒼生を雅が宥めて抑える。
「お、これかな」
それらしき紙を見つけて重みで崩れそうな書類の山の中に手を突っ込んでグイッと引っ張り取ろうとする。
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